精神科病棟における患者像と医療内容に関する研究

文献情報

文献番号
200626012A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科病棟における患者像と医療内容に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
保坂 隆(東海大学医学部基盤診療学系)
研究分担者(所属機関)
  • 岸 泰宏(埼玉医科総合医療センター神経精神科)
  • 平田豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 徳永雄一郎(不知火病院)
  • 伊藤弘人(国立精神・神経センター精神保健研究所・社会精神保健)
  • 岸本年史(奈良県立医科大学精神科)
  • 朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神医学)
  • 本間正人(独立行政法人国立病院機構災害医療センター救命救急センター)
  • 藤原修一郎(横浜南共済病院神経)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成15年9月より「精神病床等に関する検討会」が開催され,その中では「精神病床の役割と機能分化等のあり方」が大きなテーマのひとつとして議論された。その結果平成16年9月の精神保健福祉改革ビジョンにおいては「急性期,社会復帰リハ,重症療養等の機能別の人員配置,標準的な治療計画等について,厚生労働科学研究等により検討した上で,その成果を踏まえ,中央社会保険医療協議会で結論を得る」とされている。本研究はここで指摘されている厚生労働科学研究である。
研究方法
昨年度までは機能分化する病棟を急性期,精神科回復期リハビリテーション(社会復帰リハビリテーション),認知症治療病棟,ストレスケア病棟,合併症のように分類して検討したが,今年度は、児童・思春期病棟を新たに追加した。さらに一般救急病棟と精神科救急・急性期、合併症病棟との連携、機能分化の考察、合併症患者を受け入れるための必要病床数の算出を新たな課題として設定した。
結果と考察
①身体救急病棟:東京都内および近郊の8カ所の救命救急センターおよび救急医療施設を対象に3ヶ月の期間に調査用紙を用いて行った結果,救命救急センター入院患者の2.2%が精神科合併症病棟適応のある新規患者発生数と考えられた。
②救急合併症病棟:米国の身体-精神疾患合併症病棟構築にあたり、病床数をどのように設定したかについて聞き取り調査を行った。総合病院入院の1-2%が身体-精神合併症病棟入院により恩恵を得られると判断し、病床をオープンした。
③合併症病棟:救急ないし急性期における身体合併症の発生率は,8-12%であることから救急の入り口としての必要性とリスクマネージメントの観点から、総合病院で種々の身体疾患に対する診療体制があり,医療経済的なバックアップされる救急入院料病棟が総合病院内に存在することが望ましいと考えた。
結論
(1)精神科各病棟の機能
昨年度まで研究してきた各病棟および今年度新たに研究した児童・思春期病棟について、更なる充実を図るべき、あるいは新たに診療報酬化を求めるべき具体的機能を明らかにした。またそのための課題も明らかにすることができた。
(2)一般救急病棟と精神科救急・急性期、合併症病棟との連携、機能分化
身体救急病棟(救命救急センター)、総合病院精神科、精神科救急病棟における合併症患者の概数を明らかにすることができた。また米国における合併症病床の需要からわが国での必要数を推定した。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200626012B
報告書区分
総合
研究課題名
精神科病棟における患者像と医療内容に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
保坂 隆(東海大学医学部基盤診療学系)
研究分担者(所属機関)
  • 平田豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 安西信雄(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 伊藤順一郎(国立精神神経センター・精神保健研究所)
  • 岸 泰宏(埼玉医科大学総合医療センター神経精神科)
  • 白石弘巳(東洋大学ライフデザイン学部)
  • 徳永雄一郎(不知火病院)
  • 伊藤弘人(国立精神・神経センター精神保健研究所・社会精神保健部)
  • 岸本年史(奈良県立医科大学精神科)
  • 朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神医学)
  • 本間正人(独立行政法人国立病院機構災害医療センター救命救急センター)
  • 藤原修一郎(横浜南共済病院神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は平成16年9月に発表された精神保健福祉改革ビジョンで指摘されている厚生労働科学研究である。
研究方法
(1)精神科各病棟の機能分化
(2)一般救急病棟と精神科救急・急性期,合併症病棟との連携,機能分化
に分けて検討した。
結果と考察
(1)精神科各病棟の機能分化
①急性期・精神科救急病棟:全国に25施設あった精神科救急病棟(スーパー救急)中回答があった23施設での実態調査をした。平均46.0床で,ここに4.1人の専任医師と25.5人の看護師などを配して,2005年度は,年間359.6人の入院患者を平均46.2日で治療し,212.9人を自宅退院としていた。
②社会復帰リハビリテーション(精神科回復期リハビリテーション)病棟:人員配置や在院日数については,各病院が想定する実際の該当病棟の実情より高い基準であることを示唆していた。
③認知症治療病棟:今日の認知症医療における重要課題は①早期診断と対応策のアドバイス,②BPSD(精神症状・行動異常)への対応,③家族介護や対応策のアドバイスであり,これらに対する診療報酬が必要である。
④ストレスケア病棟:ストレスケア病棟を設置するうちの全国13病院に対する入院中における自殺者調査したところ,全入院者数10,427人中,自殺者25人(自殺率0.24%)であり非常に低率であることがわかった。
⑤児童・思春期病棟:必要とする病床数を算定したところ20歳未満の人口10万対3?41人(平均15人)であり,専門的治療を要する可能性がある。
に分けて検討した。
(2)一般救急病棟と精神科救急・急性期,合併症病棟との連携,機能分化
①身体救急病棟:救命救急センター入院患者の2.2%が精神科合併症病棟適応のある新規患者発生数と考えられた。
②救急合併症病棟:米国の身体-精神疾患合併症病棟構築にあたり,病床数をどのように設定したかについて聞き取り調査を行った。総合病院入院の1-2%が身体-精神合併症病棟入院により恩恵を得られると判断し,病床をオープンした。
③合併症病棟:救急ないし急性期における身体合併症の発生率は8-12%であることから,救急の入り口としての必要性とリスクマネージメントの観点から,医療経済的にも妥当な救急入院料病棟が総合病院内に一定の地域毎に存在することが望ましい。
結論
特殊な治療を提供できる病棟の機能分化とともに,一般救急病棟と精神科救急・急性期,合併症病棟との連携,などを視野に入れた機能分化も必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200626012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)精神科各病棟の機能
昨年度まで研究してきた各病棟および今年度新たに研究した児童・思春期病棟について、更なる充実を図るべき、あるいは新たに診療報酬化を求めるべき具体的機能を明らかにした。またそのための課題も明らかにすることができた。
(2)一般救急病棟と精神科救急・急性期、合併症病棟との連携、機能分化
身体救急病棟(救命救急センター)、総合病院精神科、精神科救急病棟における合併症患者の概数を明らかにすることができた。また米国における合併症病床の需要からわが国での必要数を推定した。
臨床的観点からの成果
全国に25施設の精神科救急病棟(スーパー救急)中では,年間359.6人の入院患者を平均46.2日で治療し,212.9人を自宅退院としていた。ストレスケア病棟での自殺発生件数は全入院者数10,427人中、自殺者25人(自殺率0.24%)であり非常に少ない。標準化された児童・思春期病棟の治療モデルはまだない。救命救急センター入院患者の2.2%が精神科合併症病棟適応のある新規患者発生数と考えられた。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
身体救急病棟(救命救急センター)、総合病院精神科、精神科救急病棟における合併症患者の概数を明らかにすることができた。また米国における合併症病床の需要からわが国での必要数を推定した。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
20件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-