措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究

文献情報

文献番号
200626011A
報告書区分
総括
研究課題名
措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-017
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
浦田 重治郎(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 吉住 昭(独立行政法人国立病院機構 肥前精神医療センター)
  • 鈴木友理子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 白石弘巳(東洋大学 ライフデザイン学部)
  • 平田豊明(静岡県立こころの医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、措置入院に関する平成12年度のほぼ1ヵ年の全国の事例の行政書類を解析検討した結果、措置入院制度運用の一部に問題のあることが明らかとなった。そこで措置入院制度の適正な運用に資する目的で、ガイドライン策定と行政書式の様式改訂、本制度が精神科救急に果たす役割、さらには措置入院患者の人権確保に関する精神医療審査会の活動実態や問題点を引き続き検討した。
研究方法
措置入院の各段階(通報に基づく措置診察振り分け、措置診察、措置解除)別に作成したガイドライン案について、国立・自治体および日本精神科病院協会会員医療機関、各都道府県等保健所長会施設、各都道府県等精神保健福祉センターの協力により行政事務担当者及び精神保健指定医の意見を求めた。また、包括型地域生活支援(ACT)プログラムによる措置解除後のフォローの検討、精神科救急医療における措置入院制度の果たす役割、精神医療審査会での措置入院患者処遇実態についての調査を行った。
結果と考察
措置入院運用制度ガイドラインについては、行政担当者や精神保健指定医ともにその必要性を認識しており、提示したガイドライン案についても一部の問題点を除いて概ね賛同が得られたと考えられる。ACTによる退院後のフォローでは再発・再入院例もあったが、継続的支援の効果が伺われた。精神科救急では、措置入院制度が特に重症例で重要な役割を果たしており、精神保健福祉法による様々な体制作りの必要性が示唆された。精神医療審査会については相談・説明・調整・監査的役割が明らかになるとともにいくつかの問題点が指摘された。
結論
医療観察法制度が運用されるようになったが、同法の適用を受けない触法行為や自殺等の自傷行為を行った精神障害者の医療、さらには精神科救急医療等の円滑な運営においても措置入院制度は重要な役割を担っている。ガイドライン案の検討や、措置入院要否判断基準や措置解除後のフォロー等これまでの本研究は措置入院制度の適正な運用に資すると考えられ、ひいては精神医療の質の向上するために寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

文献情報

文献番号
200626011B
報告書区分
総合
研究課題名
措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-017
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
浦田 重治郎(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 吉住 昭(独立行政法人国立病院機構 肥前精神医療センター)
  • 浦田重治郎(国立精神・神経センター国府台病院)
  • 鈴木友理子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 白石弘巳(東洋大学 ライフデザイン学部)
  • 山﨑敏雄(山﨑病院)
  • 平田豊明(静岡県立こころの医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、措置入院に関する平成12年度のほぼ1ヵ年の全国の事例の行政書類を解析検討した結果、措置入院制度運用の各段階(通報に基づく措置診察振り分け、措置診察、措置解除)で一部に問題のあることが明らかとなった。そこで措置入院制度の適正な運用に資する目的で、ガイドライン策定と行政書式の様式改訂、措置入院要否診断基準、措置解除後のフォロー、措置入院制度の精神科救急に果たす役割、さらには措置入院患者の人権確保について、精神医療審査会の活動実態や問題点を引き続き検討した。
研究方法
措置入院の各段階(通報に基づく措置診察振り分け、措置診察、措置解除)別に作成したガイドライン案について、最初の2年はいくつかの自治体、最終年度は国立・自治体および日本精神科病院協会、全国各都道府県等保健所長会、全国各都道府県等精神保健福祉センターの協力で行政事務担当者及び精神保健指定医に検討を依頼した。また、最近の医療観察法施行以後の措置入院動向、包括型地域生活支援(ACT)プログラムによる措置解除後のフォロー、精神科救急医療における措置入院制度の果たす役割、精神医療審査会での措置入院患者処遇実態についての調査を行った。
結果と考察
措置入院運用制度ガイドラインについて、行政担当者や精神保健指定医ともにその必要性を認識しており、提示した事前調査ガイドライン案と書式及びと措置入院要否判断ガイドライン案については概ね妥当と考えられた。また近年24条警察官通報の急増が明らかになった。ACTによる退院後のフォローでは再発・再入院例もあったが積極的な継続的支援の効果が伺われた。精神科救急では措置入院制度を含め精神保健福祉法による様々な体制作りの必要性が示唆された。精神医療審査会については、相談・説明・調整・監査的役割が明らかになるとともに長期措置入院例等いくつかの問題点が指摘された。
結論
平成17年医療観察法制度が施行されたが、同法の適用を受けない触法行為や自殺等の自傷行為を行った精神障害者の医療、さらには精神科救急医療の円滑な運営においても措置入院制度は重要な役割を担っている。また最近いわゆる警察官通報が増加、あるいは精神科救急医療の様々な問題化等が認められる。このような中で措置入院運用ガイドライン案の検討や措置入院要否判断基準あるいは措置解除後のフォロー等のこれまでの本研究は措置入院制度の適正な運用に資すると考えられ、ひいては精神医療の質の向上するために寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200626011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
そもそも本研究は、我が国における措置入院制度という精神医療制度に関する優れて行政的・施策的観点からの研究であるから、いわゆる医学的な学術的観点からの成果を期待するものではない。しかし、社会制度の研究という意味では社会学的成果としてこの研究結果全体が評価されてよいと考える。また、措置入院要否診断基準の検討等は精神医学の疾患概念にも関連する検討がなされており、このような意味で大いに専門的・学術的成果があったといえる。
臨床的観点からの成果
我が国において措置入院制度は単なる行政上のシステムというだけでなく、日常の診療に深く根ざしている制度であり、その運用を検討することは精神科日常診療の一端の検討ということと同義である。本研究結果が精神医療の日常診療場面に資する可能性は、その検討段階で実に多数の精神保健指定医を含めていることからも明らかである。また、診断における問題点や措置解除後のフォロー等の検討結果も、これらの精神医療に大いに資すると考えている。
ガイドライン等の開発
措置入院運用の各段階(通報に基づく措置診察振り分け、措置診察、措置解除)におけるガイドラインを検討し、提示した事前調査ガイドライン案と書式及び措置入院要否判断ガイドライン案については概ね妥当と考えられた。これに基づいて行政レベルで今後このガイドライン案が検討される必要がある。なお、措置解除とその後のフォローに関しては更なる議論が必要と考えた。
その他行政的観点からの成果
行政書類についても検討したが、その成果の一部はすでに生かされて措置入院診断書および措置症状消退届の改訂で生かされていると考えている。また、事前調査書については全国統一版がないので、この研究で書式案を検討し妥当と考えられたので実地に生かされることを期待する。
その他のインパクト
本研究は、平成12年度ほぼ1年間の全国を網羅した行政資料の解析検討から始まった基礎の揺るぎないものである。この様な研究は今までになされておらず、極めて貴重であり、また政策や制度運用への貴重な資料となるものでもある。今後も、定期的にこのような総点検的調査による問題点の検討と提言が必要と考える。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
浦田重治郎、瀬戸秀文、 立森久照
危機介入とアフターケア ―措置解除から見えてくるもの
精神医学 , 46 (6) , 599-605  (2004)
原著論文2
吉住 昭、瀬戸秀文、 藤林武史
危機介入と精神科医療 ―措置診察を中心に
精神医学 , 46 (6) , 591-598  (2004)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-