肢体不自由者用新移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発

文献情報

文献番号
200626002A
報告書区分
総括
研究課題名
肢体不自由者用新移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発
課題番号
H16-障害-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
半田 康延(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋隆行(福島大学共生システム理工学類人間支援システム専攻)
  • 関 和則(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
  • 吉澤 誠(東北大学情報シナジーセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、申請者らが開発した足漕ぎ式車椅子について、①より少ない力で駆動でき、②小型・軽量で搭乗者の生体情報フィードバックのあるパワーアシスト方式を装備し、③痙性緩和のための補助的FESシステムと融合させた、より高い性能を有する下肢駆動型移動機器を開発することを目的とした。
研究方法
本年度は、操舵性能の向上を目的とした新しいステアリング方式について、工業デザインの専門家の助言を得て,人間工学的な視点に基づいた設計を試みた.また足漕ぎ式車椅子に搭載するパワーアシストシステムについて、最も適したアルゴリズムを確立するためにシミュレーション実験を行うこととした。さらに、操舵性能を向上させた新しい足漕ぎ車椅子による、市街地での走行実験を行い、実用性の検討を行った。
結果と考察
1)工業デザインの専門家による車いす設計では,最終的に,両脚の間に丸型ハンドルを有する形式が提案された.この車いすを試作して試乗調査を行ったところ,操作性などが良好であることが明らかになった.
2)パワーアシストシステムでは,車いすの慣性質量や減衰抵抗等の運動特性等を考慮し,脚の1サイクル分の運動中に失われる機械的エネルギを,次のサイクルで補充するようなアルゴリズム(運動負荷推定形)を用いることで,ほぼ目的のパワーアシストが得られることが分かった.
3)丸型ハンドル方式の足漕ぎ車椅子は、繁華街でも十分な操舵・駆動性能を有することが明らかとなったが、ハンドル部の重量により重心が車いす前方にくることから,車いす駆動輪ならびに操舵輪への荷重分担率の設計が難しいこと,非搭乗時ならびに乗り込み時に,前方に転倒しやすくなる等の改良すべき点もあることがわかった.
結論
改良型の車椅子の試作は丸形ハンドルのものは実施でき、操作・駆動性能の改善が得られることが明らかとなったが、パワーアシスト方式を搭載した車椅子の試作には至らず、今後の課題である。また足漕ぎ式車椅子の使用は、臨床的には、麻痺下肢の筋機能の改善、心身活動性の向上、術後の廃用防止等に有効であることが明らかとなり、施設等の屋内移動には十分な実用性を有する機器となることが示された。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200626002B
報告書区分
総合
研究課題名
肢体不自由者用新移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発
課題番号
H16-障害-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
半田 康延(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋隆行(福島大学共生システム理工学類人間支援システム専攻)
  • 関 和則(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
  • 吉澤 誠(東北大学 ・情報シナジーセンター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、申請者らが開発した足漕ぎ式車椅子について、①より少ない力で駆動でき、②小型・軽量で搭乗者の生体情報フィードバックのあるパワーアシスト方式を装備し、③痙性緩和のための補助的FESシステムと融合させた、より高い性能を有する下肢駆動型移動機器を開発することを目的とした。またこれにより肢体不自由者や身体的弱者が、高速長距離の移動能力を獲得するとともに、身体機能の改善が図れるかどうかを検証することを目標とした。
研究方法
1)脚発生力を2次元のベクトル量として計測できる実験装置を開発し,より効率的な駆動のための脚移動軌跡の設計を行った。2)車いすの物理運動(機械的負荷)を模擬する運動負荷シミュレータを開発し、車いすに搭乗している状態と同様の負荷を脚に与えながらその特性を計測した。3)工業デザインの専門家の助言を得て,人間工学的な視点に基づく車いすの設計を試みた.4)車いすの移動速度ならびに脚発生力が不必要に変動することの無いパワーアシストシステムの開発を目指した.5)健常成人と痙性片麻痺患者を対象として、ペダリング側の対側下肢からH波と運動誘発電位を測定した。6)老人保健施設等に入所・通所中の障害高齢者を対象として、足漕ぎ式車椅子を用いた駆動実験を行った。また丸型ハンドル方式の足漕ぎ車椅子による、市街地での駆動実験を行った。
結果と考察
駆動効率の高い新しい脚駆動方式、およびFESによる駆動方式は確立し、また運動負荷推定型パワーアシスト方式についても原理的にはほぼ確立した。改良型の車椅子の試作は丸形ハンドルのものは実施でき、駆動性能の改善が得られることが明らかとなったが、パワーアシスト方式を搭載した車椅子の試作には至らず、今後の課題である。
結論
足漕ぎ式車いすの使用は、臨床的には、麻痺下肢の筋機能の改善、心身活動性の向上、術後の廃用防止等に有効であることが明らかとなり、施設等の屋内移動には十分な実用性を有する機器となることが示された。屋外移動については、パワーアシスト方式が、またより重度の下肢障害者にはFES方式による駆動が望ましいが、症例数の増加と機器の試作が待たれる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200626002C