エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究

文献情報

• 文献番号: 200624043A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究
• 課題番号: H18-循環器等（生習）-一般-041
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 田中 茂穂(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)

研究分担者(所属機関)

• 佐々木　敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所　栄養疫学プログラム)
• 高田　和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所　健康増進プログラム)
• 宮地　元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所　健康増進プログラム)
• 内藤　義彦(武庫川女子大学　生活環境学部)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
• 研究開始年度: 平成18(2006)年度
• 研究終了予定年度: 平成20(2008)年度
• 研究費: 15,000,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

「日本人の食事摂取基準（2005年版）」のエネルギー必要量は、集団・個人レベルでの推定法をはじめ、いくつかの課題を残している。また、「健康づくりのための運動基準2006」「健康づくりのための運動指針2006」における身体活動量の評価法については、十分に標準化されていない。
そこで、エネルギー消費量や身体活動量の推定法を改善・確立し、食事摂取基準のエネルギー必要量や運動基準・指針に資する研究を行う。

研究方法

１）健康な成人男女を対象に、複数の加速度計を装着させた上で、基礎代謝量および計14種類の日常生活活動中のエネルギー消費量を測定した。２）成人男女を対象に、性別、年齢階級毎に個人の基礎代謝量推定の妥当性を検討した。３）身体活動量質問紙（JALSPAQ）および加速度計を用いた身体活動量評価方法の差異を検討した。４）ヒューマンカロリメーターを用いて、日常生活時に近い間欠的な活動を複数含んだ生活パターンにおける、身体活動後の代謝亢進を評価した。

結果と考察

１）現時点での主な課題は、a) 身体活動レベルの実用的な設定法を含む、エネルギー必要量の推定式と推定誤差の提示、b) 一部の性・年齢階級における身体活動レベルの標準値や基礎代謝基準値の見直し、c) 身体活動や食事による代謝亢進の考慮、④「適度な身体活動レベル」の設定等である。２）従来用いられてきた1次元加速度計は、家事活動等を過小評価するのに対し、3次元加速度計は、生活活動もある程度評価できる可能性が示唆された。３）体重あたりの基礎代謝量は、多くの性別・年齢階級で、基礎代謝基準値よりもやや低い傾向がみられ、また、体重あたりの基礎代謝量を一律に定めている基準値の規定方法の見直しが必要であると考えられた。４）身体活動質問紙JALSPAQは、身体活動量の変化を活動内容・運動強度別に、ある程度定量的に把握できた。５）日常生活レベルでの身体活動に伴う活動後の代謝亢進は、1日の総エネルギー消費量に大きな影響を与えないことが示唆された。

結論

身体活動後の代謝亢進の影響は大きくないようである。一方で、加速度計や質問紙による身体活動量評価の課題と改善の可能性、および基礎代謝基準値の問題点が示唆された。18年度より、二重標識水法を用いた日常生活のエネルギー消費量・身体活動量の測定を開始しており、質問紙や歩数計による推定法の確立や加速度計の妥当性の検討を進めていく。

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-09
• 更新日: -