文献情報
文献番号
200624042A
報告書区分
総括
研究課題名
喫煙と禁煙の経済影響に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 裕子(奈良女子大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
- 中原俊隆(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系国際保健学講座健康政策・国際保健学)
- 里村一成(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系国際保健学講座健康政策・国際保健学)
- 中山健夫(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学)
- 池田俊也(国際医療福祉大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は単年度研究であり、喫煙と禁煙の経済影響について国内外の最新のデータを用い検討することを目的とする。
研究方法
分担研究者ごとに以下の6つの分担研究を実施した。1.喫煙者と非喫煙者の直接医療費の比較 2.たばこ価格の変動による喫煙率の変動について 3 経済的評価に向けた喫煙の疾患リスクの疫学的検討 4 たばこ価格の長期的変動と物価 5.喫煙による社会的損失の推計 6.禁煙支援の経済評価の研究
結果と考察
喫煙による医療費コストは、疫学データにより推定する方法と、健康保険レセプト等から喫煙者と非喫煙者の直接的医療費を算定する方法がある。前者の方法による喫煙による医療費損失は約1兆3千億円と推定され、これに入院による損失・死亡による損失・火災による財産損失や死亡や負傷を加えた社会的損失は約4兆9千億円と試算された(2005年度)。後者による医療費損失の算定には、1995年から継続している大崎国民健康保険加入者コホート研究の追跡調査をもとに喫煙者と非喫煙者の一人当たりの1年間の直接的医療費を計測した。50代女性を除くすべての年齢層において生涯非喫煙者と比べて喫煙者の医療費が高かった。これは実際に必要とした医療費を喫煙状況別に定量的に計測したものであり、過去における喫煙者・非喫煙者の医療費の多寡に関する論争に明瞭に終止符を打つ結果であった。なお喫煙習慣と関連する過剰医療費の割合は男性で8.3%、女性で1.1%と算出され、これを2005年度の国民医療費にあてはめると喫煙習慣と関連する超過医療費は1兆3211億円と推定された。また死亡リスクは生涯非喫煙、過去喫煙、現在喫煙の順に高まることから禁煙による成果が示唆された。
コンジョイント分析を用いた喫煙者のたばこ価格に対する反応について定量的に分析した結果、ニコチン依存度が高度な喫煙者では、禁煙率0.5を達成するために706円に目標価格を設定する必要があり、低度喫煙者では467円に目標価格を設定することが必要であると推定された。さらに喫煙者が禁煙した場合における経済的影響を測定するため、諸外国におけるたばこ価格の値上げ等の実態や各種疾病発生への喫煙の寄与危険度のレビューおよび禁煙支援の費用対効果分析に用いるコスト計算方法の検討を加えた。
コンジョイント分析を用いた喫煙者のたばこ価格に対する反応について定量的に分析した結果、ニコチン依存度が高度な喫煙者では、禁煙率0.5を達成するために706円に目標価格を設定する必要があり、低度喫煙者では467円に目標価格を設定することが必要であると推定された。さらに喫煙者が禁煙した場合における経済的影響を測定するため、諸外国におけるたばこ価格の値上げ等の実態や各種疾病発生への喫煙の寄与危険度のレビューおよび禁煙支援の費用対効果分析に用いるコスト計算方法の検討を加えた。
結論
喫煙者は非喫煙者より医療費コストが高く喫煙による過剰医療コストは約1兆3千億円と推定されたが、喫煙と禁煙が経済に与える影響について今後は健康影響に関する疫学モデルと行動経済学モデルとを統合した研究が求められる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
-