食事バランスガイドを活用した栄養教育・食環境づくりの手法に関する研究

文献情報

文献番号
200624041A
報告書区分
総括
研究課題名
食事バランスガイドを活用した栄養教育・食環境づくりの手法に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-039
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武見 ゆかり(女子栄養大学栄養学部食生態学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院医学研究科公共健康医学専攻疫学保健学講座)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学医療技術学部)
  • 福田 吉治(国立保健医療科学院疫学部)
  • 大久保 公美(女子栄養大学栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病対策のポピュレーションアプローチ推進のツールとして策定された日本初のフードガイド「食事バランスガイド」を活用した介入プログラムを開発・実施し、その効果検証を目的とする。具体的には、A:食物の生産から健康までをつなげた食育、B:食物流通の場を活用した食育C:食事の提供(中食)を活用した栄養教育、以上3つの介入プログラムを開発・実施し、無作為比較試験または非無作為比較試験により、食事バランスガイド活用の効果検証を行なう。
研究方法
初年度である18年度は、A、Bプログラムの開発、実施、評価を中心とし、Cについては次年度から介入を開始するための体制づくりを中心とした。
Aプログラムは、新潟市内の小学校7校を、学校単位で無作為に、健康学習群(4校)と環境学習群(3校)に割付けた。各小学校の5年生とその保護者を対象とし、ベースライン調査、介入プログラムの作成と実施、事後調査を実施した。事前事後の両調査に協力が得られた者は、小学生は健康学習群218人、環境学習群159人、保護者は、健康学習群415名、環境学習群278人であった。
Bプログラムは、生協のスーパーマーケット型店舗の中から、介入店舗1店及び対照店舗2店を抽出し、各店舗の利用者から子育て世代のモニター、介入店舗群654名、対照店舗群783名を確保した。
結果と考察
Aプログラムでは、事後評価の結果、健康学習プログラムは、環境学習プログラムに比べ、児童の副菜(野菜)と菓子、および保護者のうち母親の主食、副菜(野菜)、脂肪摂取についての食知識、食態度、食行動に対して影響したと考えられた。
Bプログラムでは、介入のプロセス評価及び影響・結果評価より、店舗での介入は情報の一方的な提示よりも人を介した働きかけの必要性が示唆された。介入の効果では、男女で改善が見られた項目の数や内容は異なったものの、両者で望ましいと考えられる方向へ食行動変容がみられた。しかしながら、女性では食物摂取面までの変化はみられなかった。
以上のA、Bプログラムの影響・結果評価から、直接的な教育的働きかけの中で「食事バランスガイド」を活用した場合には半年で食行動変容までの効果がみられるが、直接的に働きかけられない対象(例えば、Aプログラムの保護者男性)に効果を及ぼすことは難しく、食環境づくりでは、半年間で店舗利用者の食物摂取面にまで効果を及ぼすことの難しさが確認された。
結論
ポピュレーションを対象とする「食事バランスガイド」の活用においては、より継続的な取り組みとその効果検証の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-