小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関するコホート研究

文献情報

文献番号
200624034A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関するコホート研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-032
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大関 武彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 知雄(日本大学 医学部)
  • 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター)
  • 朝山 光太郎(神奈川県予防医学協会)
  • 有阪 治(獨協医科大学 医学部)
  • 井上 文夫(京都教育大学)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学東医療センター)
  • 玉井 浩(大阪医科大学 医学部)
  • 花木 啓一(鳥取大学 医学部)
  • 村田 光範(和洋女子大学)
  • 中川祐一(浜松医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期のメタボリックシンドロームの概念と診断基準を確立することにより、その病態を明確化し効果的な介入方法を提示することにより、小児におけるメタボリックシンドロームへの対応方策を明らかにすることを目的とする。合わせてその予備群への介入、そして小児全般に対する適切な生活習慣確立のための支援を行うことが可能となり、将来の成人のメタボリックシンドロームそしてそれと関連する動脈硬化性疾患等の発症を大きく減ずることが期待される。
研究方法
各研究者におけるコホート研究を継続し、特に診断基準の項目と考えられる腹囲・内臓脂肪および脂質(中性脂肪、HDLコレステロール)、血圧(収縮期、拡張期)、空腹時血糖について検討した。対象者は10地区で計13200名を上回るが、年齢や調査項目について個々で異なるため、それぞれで解析を進めた。これらの集計をもとに昨年度提示した小児期(6-15歳)のメタボリックシンドローム診断基準暫定案の検証を行った。
 血管病変の評価法と川崎病罹患児などのハイリスク群での研究や、介入に関する基礎的検討を行った。
結果と考察
診断基準の基本的項目である内臓脂肪の評価は、検診や学校・家庭での応用を念頭に置くと腹囲による判定が最も有効性が高いと考えられた。腹囲82.5 cmが糖脂質代謝、循環系の異常の基準と考えられ、著しい男女差は認められなかった。肥満のない11歳以上における腹囲の標準範囲(平均値+2SD)は男 82.7 cm、女 82.3 cmであった。11歳未満では身長x1/2と良好な関連を示した。このためメタボリックシンドローム出現頻度の増加する中学生に対しては80 cmが良好な基準であると考えられた。これらを総合すると(1)腹囲の増加(80cm以上)、(2)中性脂肪120 mg/dl以上ないしHDL-コレステロール40 mg/dl未満、(3)収縮期血圧125 mmHg以上ないし拡張期血圧70 mmHg以上、(4)空腹時血糖100 mg/dl以上の項目のうち(1)を必須とし(2)-(4)のうちの2つを含む場合に診断される。これに加え腹囲/身長が0.5以上である場合にも内臓脂肪の蓄積があるとして(1)に該当すると判定される。
結論
小児期のメタボリックシンドロームの暫定診断基準案を検証し最終案を提示した。これにより疫学、病態、介入などのより一層の進展し、成人のメタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患の減少が期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-05-15
更新日
-