健康診査の精度管理に関する研究

文献情報

文献番号
200624028A
報告書区分
総括
研究課題名
健康診査の精度管理に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 清明(国際医療福祉大学 三田病院 検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 奈良 昌治(日本人間ドック学会)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度からメタボリックシンドローム予防を目標にした特定健診が開始されるにあたり健康診査の適正な精度管理施行が要求される。現存する健診の精度管理への改善要望は1)健診の事業計画や組織体制の妥当性2)検査測定の正確性の確保3)検査結果が正確に判定される事4)検査所における内部および外部精度管理の向上5)健康診査結果により適正な保健指導がなされる事6)適正な個人情報の確保や保護7)個人の健康データベースの精度向上などである。これらにつき特定健診に具体的に資する成果を目指し研究を行った。
研究方法
1)施設の基準設定(安全確保、組織体制など)2)設備:機器の保守管理方法3)人員:資質の向上、教育体制4)運営:マニュアル作り、情報管理、リスクマネジメント5)評価、認定6)地域と職域との関連7)受診者の満足度8)その他について適正な精度管理の実施のための検討を行った。
結果と考察
肥満の有無と追加リスクによって医療費の変化に差が認められる。また、高コレステロール血症を予防する減量指導はとくに若年者において効果的であると考えられた。血圧2回測定が行われている場合、1回目だけを採用すると高血圧の有病率の増加に繋がる可能性がある。前年度の健診で保健指導や受診勧奨を受けている者のほとんどが翌年にも同じように保健指導や受診勧奨を受けている結果が明らかになり、特定健診を有効に行うには保健指導の結果調査が大変重要となると思われる。特定健診は複数の機関の参加を前提にしており、医療保険者と健康増進機関、医療保険者同士、健康増進機関同士などでデータのやりとりをおこなう必要があり、項目コード(JLAC10)を活用することで、特定健診の精度や効率が高まると期待された。特定健診の肝機能検査項目による脂肪肝検出ではALT活性、HDL-コレステロール、AST/ALT比が脂肪肝のスクリーニング検査として有用であった。保健指導判定値として空腹時血糖100 mg/dlおよびHbA1c値5.2 %はほぼ妥当と思われた。標準的な健診・保健指導プログラムの暫定版の階層化に比し、確定版では保健指導を受ける受診者がかなり減少する。
結論
特定健診における臨床検査の精度管理の在り方の検討を行い、具体的に施行するに当たっての留意事項の提示ができた。これは「標準的な健診・保健指導のプログラム(確定版)」に記載されており、本健診の適正な施行に貢献すると思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-