疾病予防サービスの制度に関する研究

文献情報

文献番号
200624026A
報告書区分
総括
研究課題名
疾病予防サービスの制度に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院医学系研究科・東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大江 和彦(東京大学大学院医学系研究科)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 奥 真也(東京大学大学院医学系研究科)
  • 林 同文(東京大学大学院医学系研究科)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院)
  • 古井 祐司(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の予防を効果的かつ効率的に推進するための健診・保健指導にあり方を明らかにするために保険者をフィールドとした研究を行った。
研究方法
健診の標準化に資するために電子的様式の標準形式を策定し、その仕様の開発と普及方策、システム開発のためのソフトウエアツールの開発を行った。健診項目の評価検討では、米国USPSTFの手法を活用して実施し、今後の健診評価のあり方検討の一助にする目的で、USPSTFが発行する予防医学に関する最新の勧告集を翻訳した。次に、保険者のレセプト・健診データを活用し、医療費、健診結果の突合分析手法を検討した。また、特定健診・特定保健指導の円滑な運用に向けた、組合員への啓発を効果的に行うための事業スキームを整理し、試行的な保健事業を実施した。最後に、保険者の現状のニーズ及び課題を把握するために、全健保組合及び全市町村国保に対してアンケートを実施した。
結果と考察
特定健診制度はデータの標準化が進展する制度基盤になると考えられるが、本研究で提案した健診データの同一人一意性を確保する健診データ登録番号については、運用に向けた採択には至らなかった。今後、予防医療を効率的に推進するための運用上の仕組みについては、引き続き検討が必要と考えられる。健診項目の評価に関しては、文献を系統的に整理・研究する試みは国内では端緒についたばかりであり、未だ十分な文献・データがない状況であると同時に、データ収集・評価分析の仕組みの構築が課題として整理された。今後は、受診者側の視点、価値観を考慮した評価も重要になると考えられる。次に、レセプト・健診データの突合分析研究により、保健指導対象者の抽出だけでなく、医療費適正化の視点からの事業評価に活用される可能性が示された。特定健診・特定保健指導を円滑に行うために、組合員の健康状況などの把握と意識啓発は不可欠であるが、本研究では従来健診受診率が低い被扶養者に対する啓発効果の可能性(55%の事業参加率)と事業スキームが示され、今後の保健事業への活用が期待される。保険者の取り組みの現状では、法定要件である特定健診等実施計画の作成に関しては、必要なデータ収集の方法が未定である保険者が3割以上存在するなど、特定健診・特定保健指導を効果的・効率的に実施する上での課題が示された。
結論
健診項目の評価、健診データの標準化様式、組合員への効果的な意識啓発事業および医療保険者の取り組みの現状・課題などが整理され、保険者の協力のもと生活習慣病の予防を効果的かつ効率的に推進するための健診・保健指導にあり方が示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
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