文献情報
文献番号
200624022A
報告書区分
総括
研究課題名
たばこに関する科学的知見の収集に係る研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部)
研究分担者(所属機関)
- 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
- 磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科)
- 井上 真奈美(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
- 若井 建志(愛知県がんセンター研究所)
- 小笹 晃太郎(京都府立医科大学大学院医学研究科)
- 玉腰 暁子(国立長寿医療センター治験管理室)
- 西野 善一(宮城県立がんセンター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国におけるたばこの健康影響の大きさについての量的評価を正確に行うために、10万人規模の地域住民を対象としたコホート研究である、厚生労働省コホート、文部科学省コホート、および大阪府・愛知県・宮城県の3府県コホートの併合データを用いて、全死因および死因別に、たばこによる相対リスクおよび人口寄与危険割合を推定する。また、メタボリック・シンドロームに着目した健診・保健指導による生活習慣病予防が注目されている今日の状況を踏まえて、メタボリック・シンドローム対策における禁煙の意義や介入方法について検討するための基礎資料を得るために、喫煙とメタボリック・シンドローム発症との関連性について文献的考察の枠組みを作成する。
研究方法
10万人規模の地域住民を対象としたコホート研究である、厚生労働省コホート、文部科学省コホート、および大阪府・愛知県・宮城県の3府県コホートの併合データを用いて、(1)全死因および死因別の、喫煙による相対リスクと人口寄与危険割合(2)喫煙習慣別平均余命(3)喫煙曝露量別呼吸器疾患死亡リスク(4)禁煙後経過年数別肺がんリスクを検討した。また、喫煙とメタボリック・シンドローム発症との関連性についてAnalytic Frameworkの設定を行い、文献検索の手順を検討した。
結果と考察
日本人の全死亡における喫煙の人口寄与危険割合は、男性で19%、女性で4%、男女計で13%だった。平均余命については、40歳からの生存曲線の50%死亡時の喫煙者と非喫煙者との年齢差は男性で約5年、女性で約4年だった。喫煙と呼吸器疾患との関連については、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で喫煙との量反応関係が顕著だった。禁煙と肺がんリスクについては、70歳以前に禁煙した男性の現在喫煙者に対する死亡率比は禁煙後年数が経過するとともに低下した。喫煙とメタボリック・シンドロームとの関連の文献的考察については、喫煙がメタボリック・シンドロームを発症する直接的証拠をはじめとする8つのAnalytic Frameworkを設定した。
結論
わが国における喫煙の疾病負荷は高く、今後も科学的知見の収集をするとともに、禁煙の普及をはじめとした喫煙対策を進めることが必要である。
公開日・更新日
公開日
2007-04-05
更新日
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