文献情報
文献番号
200623017A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心不全とその関連疾患に対するより効果的かつ効率的な治療等の確立に関する臨床研究-院外心停止者の救命率向上に対する自動体外式除細動器を用いた肺蘇生法の普及とエビデンス確立のためウツタイン様式を用いた大規模臨床研究-
課題番号
H16-心筋-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
野々木 宏(国立循環器病センター心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
- 向仲 真蔵(大阪府立済生会千里病院千里救命救急センター)
- 森田 大(大阪府三島救命救急センター)
- 平出 敦(京都大学医学研究科付属医学教育推進センター)
- 佐藤 俊哉(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療統計学)
- 永井 洋士(財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター)
- 菊地 研(獨協医科大学 内科学(心・肺血管))
- 長尾 建(駿河台日本大学 救急医学)
- 米澤 一也(独立行政法人国立病院機構函館病院臨床研究部)
- 荻野 均(国立循環器病センター心臓血管外科)
- 高本 眞一(東京大学医学部心臓外科)
- 大北 裕(神戸大学呼吸循環器外科)
- 松田 均(国立循環器病センター心臓血管外科)
- 角地 祐幸(東海大学医学部循環器内科)
- 佐瀬 一洋(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学)
- 田中 秀治(国士舘大学大学院体育学部スポーツ医科学科)
- 安田 聡(東北大学大学院医学系研究科循環器先端医療開発学)
- 田中 裕(大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究【心筋梗塞・脳卒中臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
53,774,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
本年度の目的は、構築した院外心停止例の全例登録システムおよびデータ管理システムにより作成したデータベースから心停止例の予後に影響する因子解析し救命対策を構築することにある。
研究方法
1.前向き登録における入力システムとデータマネジメントを一貫して解析可能な管理システムの構築を行い、今後の各介入試験の効果検証における基礎データをまとめる。2.致死的不整脈に対するⅢ群薬のニフェカラントの前向き登録パイロット試験を開始する。3.モバイルテレメディシンによる新しい救急システムの実用化を行う。4.一般市民に向けた胸骨圧迫のみに単純化した講習プログラムの開発とその普及活動によりその効果を評価する。5.監察制度のある地域での解析により大動脈疾患による院外心停止の実態を検証する。
結果と考察
1.40,000例を越える院外心停止症例の蘇生に関するデータを解析し、バイスタンダーCPR実施割合の上昇、除細動までに要する時間の短縮に伴い、救命率は改善しているもののいまだ不十分であることを明らかにした。2.治療抵抗性心室細動に対するニフェカラント前向き登録パイロット試験のプロトコール作成を行い、4施設にて登録システムの有効性と安全性を検討した。3.モバイルテレメディシンにより、12誘導心電図、動画等を救急車-病院間伝送可能なシステムの実施試験を経て地域における実用化を検討した。4.院外心停止解析から得られた胸骨圧迫のみのCPRの有用性を利用し、①救命意識は地域キャンペーンに講習会を組み合わせることで向上すること、②CPRへの参加意識は胸骨圧迫のみに単純化することで向上すること、③単純化したCPRであれば、短時間で効率よく習得できること、を明らかにした。5.大動脈疾患による院外心停止症例の発症頻度と疾患内訳を明らかにした。
結論
本研究で構築したシステムは、国際標準のウツタイン様式を用いた疫学研究として世界最大規模のものであり、世界の救急医療の発展に資するエビデンスを提供し得た。 今後、院外心停止の救命率向上のための蘇生教育・救命意識向上のためのキャンペーンを継続して実施し、市民の救命意識向上、地域の救急システム改善による心臓突然死の救命率向上を客観的に評価することが可能となった。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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