「健康づくりのための運動指針」に関する研究-身体活動量増加による生活習慣病の一次予防効果-

文献情報

文献番号
200624015A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康づくりのための運動指針」に関する研究-身体活動量増加による生活習慣病の一次予防効果-
課題番号
H16-循環器等(生習)-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田畑 泉(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 戸山芳昭(慶應義塾大学 医学部)
  • 樋口 満(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 田中宏暁(福岡大学 スポーツ科学部)
  • 林 達也(京都大学 大学院 人間・環境科学研究科)
  • 桧垣靖樹(佐賀大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 最終年度においては、平成18年に策定された健康づくりのための運動基準2006-身体活動・運動・体力-で示された身体活動量について、エクサイズを単位として国民の実際の身体活動量がいかほどであるかを明らかにし、健康づくりのための運動基準2006の妥当性と有効性を検討した。
研究方法
これらの目的を持つ研究を1a. 「生活習慣病予防のための最大酸素摂取量基準を維持するために必要な筋量」,1b. 「レジスタンス(筋力)トレーニングと動脈コンプライアンス」,1c.「中高年女性の身体組成に対するウオーキングと食品成分の併用効果」,1d.「各性年齢別の身体活動量(エクサイズ)に関する研究」,2.「高齢ローイング愛好者のローイング運動とその他の身体活動」,3.「身体活動量向上法としての在宅型ステップ運動プログラムの有効性」,4.「チェア・エクササイズを用いた生活習慣病の予防と対策に関する研究」,5.「身体活動量と肥満度に関する研究」,6「運動が骨代謝に及ぼす影響に関する研究」を行った。
結果と考察
①女性でエクササイズガイド2006で示された健康づくりのための最大酸素摂取量の基準を満たすためには、年齢に関係なく、体重の28.5%の四肢筋量を保持することが必要であること, ②筋力トレーニングによる動脈コンプライアンスの低下を予防するには、有酸素性トレーニングを併用すればよいこと, ③閉経後女性におけるウオーキングの介入効果は、脂質代謝については介入中止後も維持されるが、骨代謝は維持されにくいこと,④国民の身体活動量は、エクササイズガイド2006で推奨される23エクサイズ/週をほとんどすべての年代で満たしていないこと, ⑤ローイング運動をする高齢者は一般高齢者に比べ非常に心肺機能が高いこと,⑥非監視型のステップ運動は、有酸素性作業能を著しく改善させ、それに伴いメタボリックシンドロームを予防・改善する可能性があること,⑦3メッツ以上の身体活動の増加が低い水準での変化であっても肥満予防の効果が期待でき、肥満予防に有効と考えられる身体活動量は7メッツ・時/週以上、目標とする身体活動量は10メッツ・時/週以上が妥当であること, ⑧Ⅰ型糖尿病モデルラットにおいて走行運動、Ⅱ型糖尿病のモデルラットにおいて腰椎の骨塩量を増加させることを明らかとした。
結論
①国民の身体活動量は、生活習慣病発症予防のできる量に達していないこと、また生活習慣病の発症予防は、一定の筋量及び一定の持久力を保持することが必要であることが明らかになった。さらに、本研究によりメタボリックシンドロームの予防に有効なトレーニング方法が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200624015B
報告書区分
総合
研究課題名
「健康づくりのための運動指針」に関する研究-身体活動量増加による生活習慣病の一次予防効果-
課題番号
H16-循環器等(生習)-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田畑 泉(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 戸山 芳昭(慶應義塾大学 医学部)
  • 樋口 満(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 田中 宏暁(福岡大学 スポーツ科学部)
  • 林 達也(京都大学大学院 人間・環境科学研究科)
  • 桧垣 靖樹(佐賀大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、生活習慣病発症予防に必要な身体活動量,運動量を定め、健康づくりのための運動基準及び健康づくりのための運動指針策定をすることであった。
研究方法
1a.「体力・身体活動量と生活習慣病危険因子に関する研究」,1b.「閉経後女性の骨密度に対するウオーキングの影響に関する研究」,1c.「身体活動量,運動量,体力と生活習慣病予防との関係に対するシステマテイック・レビュー」,1d.「安全なレジスタンストレーニング法の開発に関する研究」, 1e.「身体活動量の定量法に関する研究」,2.「スポーツ活動(ローイング運動)実施者の体力と生活習慣病危険因子に関する研究」3.「在宅運動プログラム(ステップ運動)の開発に関する研究」4.「安全なチェア・エクサイズの開発に関する研究」5.「地域住民の活動量と生活習慣病危険因子に関する研究」6.「運動が骨代謝に与える影響に関する研究」を行った。
結果と考察
①生活習慣病発症予防に必要な身体活動量は23メッツ・時/週,運動量は4メッツ・時/週であるが、現在ほとんどすべての年代で、それを満たしていないこと,②メタボリックシンドロームの解消に10メッツ・時/週の運動が必要であるが、非監視下のステップエクサイズやチェアーエクサイズによる10メッツ・時/週程度の運動トレーニングによりメタボリックシンドロームが解消されること,③生活習慣病発症予防に、最大酸素摂取量と筋力という体力と体組成が重要であること,④閉経後女性閉経後女性の大腿骨の骨密度維持に9メッツ・時/週程度の速歩は有効であること,⑤安全に介護予防のためのレジスタントトレーニングを行うには有酸素性トレーニングを同時に行なうことが必要であること,⑥ スポーツ習慣をもつ中高年者は、運動量,身体活動量,体力を健康づくりのための運動指針2006で示された量を超える身体活動,運動を行っており、生活習慣病発症の危険が低いことが明らかとなった。また地域住民の活動量と生活習慣病危険因子に関する研究により身体活動量は対糖能低下の独立因子であり、その量は9202歩以上であること、また肥満予防に有効と考えられる身体活動量は7メッツ・時/週以上、目標とする身体活動量は10メッツ・時/週以上であることが示された。
結論
本研究により①生活習慣病予防に必要な身体活動量,運動量が示されたが、ほとんどすべての国民が、それを満たしていないこと,②生活習慣病発症予防に、最大酸素摂取量と筋力という体力と体組成が重要であることが明らかになった。またメタボリックシンドロームの解消に有効な非監視下の運動方法が開発された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200624015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
身体活動量,運動量,体力と生活習慣病発症に関するシステマティックレビューを行い、最初にヒットした約8000本の文献から最終的に84文献を選択し、健康づくりのための運動量,身体活動量,体力を明らかにした。動脈硬化の指標である動脈コンプライアンスに対すレジスタンス運動と持久性運動の相反する影響について明らかにした。
臨床的観点からの成果
最も骨密度の低下が激しい閉経直後女性の骨密度の低下を防止する運動方法やメタボリックシンドローム改善のための運動方法を明らかにした。
ガイドライン等の開発
厚生労働省健康局が平成18年7月が発表した健康づくりのための運動基準2006-身体活動・運動・体力-と健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)の策定の基礎となった。
その他行政的観点からの成果
平成20年度から行われる特定保健指導の運動関係のツールとして利用されるような運動方法等を開発した。
その他のインパクト
健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~と健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)を英訳,韓国語訳,中国語訳を行い、身体活動,運動施策に関してアジア諸国を先導することができた。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
学会発表(国際学会等)
15件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
①健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~ ②健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Miyachi M, H Tanaka, H Kawano  et al.
Lack of age-related decreases in basal whole leg blood flow in resistance- trained men
Journal of Applied Physiology , 99 , 1384-1390  (2005)
原著論文2
Wu J, Oka J, Tabata I et al.
Effects of isoflavone and exercise on bone and lipid metabolism in postmenopausal Japanese women: One year randomized placebo-controlled trial.
Journal of Bone and Mineral Research , 21 , 780-789  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-