文献情報
文献番号
200624009A
報告書区分
総括
研究課題名
内頸動脈閉塞症にともなう血行力学的脳梗塞の発症予防に関する研究
課題番号
H16-循環器等(生習)-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 享(国立循環器病センター 脳血管外科)
研究分担者(所属機関)
- 小川 彰(岩手医科大学脳神経外科)
- 森 悦朗(東北大学大学院医学研究科内部・高次機能障害学講座(高次機能障害学分野))
- 中川原 譲二(医療法人医仁会中村記念病院脳神経外科)
- 榊 寿右(奈良県立医科大学脳神経外科)
- 井上 亨(独立行政法人国立病院機構九州医療センター脳神経外科)
- 冨永 悌二(東北大学大学院医学系研究科神経科学講座神経外科学分野)
- 岡田 芳和(東京女子医科大学脳神経外科)
- 橋本 信夫(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座脳神経外科)
- 永廣 信治(徳島大学医学部情報統合医学講座脳神経外科)
- 永田 泉(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科神経病態制御学(脳神経外科))
- 黒田 敏(北海道大学医学部・歯学部附属病院神経外科)
- 山田 和雄(名古屋市立大学大学院医学研究科神経機能回復学分野)
- 林田 孝平(武田病院画像診断センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬物治療による脳卒中再発率が増加する閾値の解明を目的とし、多施設前方向きコホート研究により、薬物治療のみで治療された脳血流量の慢性的軽症低下が脳虚血発作の再発や高次脳機能障害にもたらす影響を検討する。
研究方法
脳虚血軽症例を安静時脳血流量と血管反応性から4群に細分し脳虚血発作の再発や高次脳機能障害の進行を、JET study内科群のEndpoint発生率(観察期間と登録症例数を、人—年に換算)と比較した。安静時血流量:正常値の80%以上90%未満 または 脳循環予備能:10%以上30%未満のいずれかを示すものを本研究の対象とし、脳虚血の程度により下記4群に分ける。
A. 正常値の80%≦安静時血流量<90% かつ 脳循環予備能<10%
B. 安静時血流量<正常値の80% かつ 10%≦脳循環予備能<20%
C. 正常値の80%≦安静時血流量<90% かつ 10%≦脳循環予備能<20%
D. 安静時血流量<正常値の90% かつ 20%≦脳循環予備能<30%
A. 正常値の80%≦安静時血流量<90% かつ 脳循環予備能<10%
B. 安静時血流量<正常値の80% かつ 10%≦脳循環予備能<20%
C. 正常値の80%≦安静時血流量<90% かつ 10%≦脳循環予備能<20%
D. 安静時血流量<正常値の90% かつ 20%≦脳循環予備能<30%
結果と考察
128例(平均年齢60.9±9.6歳、女20例)が登録された。primary endpointは8例、secondary endpointは3例であった。観察期間は平均 577.9±197.2日(29-731日:平成19年3月31日現在)、登録症例のCBF分類は、A群 17、B群31、C群25、D群55。現時点での観察期間の終了は、60例(A群 8、B群16、C群11、D群25)である。Primary endpoint発生率はA群 7.6% / 人年、B群4.1%人年、C群7.4%/人年、D群1.1%/人年であった。A群、C群においてJET study内科群(8.3%)と比較的近いPrimary endpoint発生率を認めた。しかしこれらは心疾患などによる死亡や悪性新生物による要介助など、脳卒中再発と無関係なものが多く、バイパス手術により減少しうる同側脳卒中の再発に関係するsecondary endpointは、3例(B群2例、C 群1例)に認めた。Secondary endpointの発生率のJET study内科群との比較においては、B群においてのみ、近い再発率を認めた。
結論
現時点ではB群において、JET studyの基準に加えて、新たなバイパス術の適応となる可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
-