複数の動脈硬化性疾患危険因子を有する対象におけるアスピリンの一次予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200624006A
報告書区分
総括
研究課題名
複数の動脈硬化性疾患危険因子を有する対象におけるアスピリンの一次予防効果に関する研究
課題番号
H16-循環器等(生習)-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(慶應義塾大学 医学部内科)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
53,774,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200624006B
報告書区分
総合
研究課題名
複数の動脈硬化性疾患危険因子を有する対象におけるアスピリンの一次予防効果に関する研究
課題番号
H16-循環器等(生習)-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(慶應義塾大学 医学部内科)
研究分担者(所属機関)
  • 内山真一郎(東京女子医科大学 神経内科学)
  • 島田和幸(自治医科大学 内科学講座)
  • 寺本民生(帝京大学医学部 内科学教室)
  • 藤田敏郎(東京大学 大学院医学系研究科内科学)
  • 山田信博(筑波大学 大学院人間総合科学研究科内分泌代謝内科)
  • 山崎力(東京大学 大学院医学系研究科薬剤疫学講座)
  • 及川眞一(日本医科大学 第3内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動脈硬化危険因子を有する高齢者へのアスピリン一次予防投与のリスク/ベネフィットを大規模無作為比較試験により評価する。
研究方法
(1)選択対象:高血圧、高脂血症または糖尿病患者(年齢60-85歳)
(2)除外対象:脳血管障害、冠動脈疾患の既往のある症例 他
(3)試験方法:多施設共同ランダム化割付(中央管理)比較試験、アスピリン100mg/日投与群対非投与群
(4)一次エンドポイント:複合エンドポイント(脳・心血管系要因による死亡・非致死性脳血管障害・非致死性心筋梗塞)
(5)登録数:15,000例、追跡 約4年以上
(6)研究組織
試験総括医師:慶應義塾大学医学部池田康夫(総括)
ステアリングコミッティー:試験の運営・管理、各専門分野の臨床評価
データセンター:症例登録・割付システムの作成およびデータ解析
 上記の他に、モニタリング委員会、イベント判定委員会、試験事務局

結果と考察
16年度に開始され、平成17年2月プロトコールを確定した。倫理審査委員会の承認を得て、平成17年3月より登録が開始された。ステアリングコミッティーは、症例登録促進の為の計画策定、参画医師とのコミュニケーション、メディア・学会を通じた広報、危険因子の標準的管理を参画医に教育する為の小冊子の作成、講演会の実施などを行っている。本研究は厚生労働科学研究費補助金の他、公益法人ワックスマン財団よりの研究費支援、㈱バイエル薬品からバイアスピリン錠の無償提供を受けて行われており、平成19年3月現在、約1400医療機関が参画し、13,000症例以上の登録が完了している。平成18年9月には、7月までに登録された6759例を対象とした初回の追跡調査を実施し、プロトコール治療が継続されている症例は、96.8%と高い精度の臨床試験が進行中であった。また、確定された一次エンドポイントが低かった事より、予定登録症例数を当初の10,000例より15,000例に変更した。
結論
本研究は、アスピリンの一次予防投与に関する日本人でのエビデンス構築を目的として、アスピリンが有益と推察される冠危険因子を複数有する対象においてリスク/ベネフィットを評価するとともに、危険因子の種類や合併数での有益性を評価・検証することを目的としている。アスピリンは1錠約6円と安価である上、100年以上の臨床実績により安全性の確立された薬剤であり、本研究により日本人におけるアスピリン一次予防投与の有益性が確認されれば、毎年約5-10万人の動脈硬化性疾患の回避が期待されるとともに、多額の医療費・介護費用の削減に貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200624006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
動脈硬化性疾患危険因子を有する高齢者におけるアスピリン一次予防投与の有効性・安全を評価する為、13,300例の症例を登録。学術的・国際的・社会的意義:アスピリンによる動脈硬化性疾患の急性期治療、二次予防は、国内外の各種ガイドラインで、アスピリンを全例に使用することが推奨されているが、一次予防効果に関して海外で5報の臨床試験が発表、現在34カ国で一次予防の適応が承認、国内外のガイドラインで推奨されている中、日本人において一次予防における臨床試験データは未公表の為、本研究の社会的意義は大きい。
臨床的観点からの成果
(1)研究目的の成果
実地医家の先生が参画することより、日常診療の質の向上にも貢献している。
(2)研究成果の臨床的・国際的・社会的意義
動脈硬化性疾患危険因子の管理の重要性について実地医家の先生を通じて患者への疾患啓発を行った。また実地医家に対しては高血圧、高脂血症、糖尿病の合併例を日常診療で早期発見の重要性を認知させ、また動脈硬化性疾患の診断基準の教育を行った。これらのことから動脈硬化性疾患の予防に貢献する社会的意義は大きいと考える。
ガイドライン等の開発
本邦の合同研究班による虚血性心疾患の一次予防ガイドラインでは、危険因子を多数有する患者または危険因子を合わせ持つ糖尿病患者においてアスピリンの投与を考慮するよう推奨している。ただし、本ガイドラインは上述の海外における臨床試験及び疫学データが根拠となっており、日本人における臨床データの集積が待たれている。
その他行政的観点からの成果
本研究により日本人においても海外と同様のアスピリン一次予防投与の有益性が確認されれば、患者の予後に重大な影響を与える重篤な動脈硬化性疾患の予防法の確立につながる。これにより毎年約5-10万人の動脈硬化性疾患の回避が期待され、患者やその家族のQOLは大幅に向上する。また、アスピリンは1錠約6円と安価であり、年間約2兆4千億円と推計される多額の医療費の削減にも貢献すると考えられる。
その他のインパクト
本研究は、国際研究にも通ずる中央管理によるランダム割付、客観的評価が可能なハードエンドポイントによる評価である。また、日本で行われるアスピリン一次予防試験として最大級のランダム化比較試験である。複数の危険因子を有する患者を対象としたものであり、高齢患者における種々の探索的検討(危険因子の種類や合併数によるアスピリンのリスク/ベネフィット比の比較等)が可能である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
臨床内科医会総会・老年医学会総会・動脈硬化学会総会・高血圧学会総会・心臓病学会学術集会・血栓止血学会学術集会・脳卒中学会総会・循環器学会学術集会・神経学会総会・糖尿病学会年次学術集会・脳ドック学会総会
学会発表(国際学会等)
4件
Stroke ・Atherosclerosis・Asian-Pacific Thrombosis and Hemostasis・ Hypertension
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
ホームページ:http://poppy.ac/j-ppp/

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-