悪性胸膜中皮腫の病態の把握と診断法、治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622034A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性胸膜中皮腫の病態の把握と診断法、治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 了介(国立がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浅村尚生(国立がんセンター中央病院)
  • 松野吉宏(国立がんセンター中央病院)
  • 國頭英夫(国立がんセンター中央病院)
  • 楠本昌彦(国立がんセンター中央病院)
  • 江口研二(東海大学医学部)
  • 井内康輝(広島大学医学部)
  • 岸本卓巳(岡山労災病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における悪性中皮腫の臨床病理学的な特性や病態の把握は十分ではなく、有効な早期発見方法、治療法が確立されていない。本研究は、一般住民検診により石綿低濃度曝露での発症の疫学的検索を行うとともに、中皮腫の病理病態の把握を前向きの症例登録(血液検体および組織バンキングを含む)によって包括的にすすめ、これを基盤として有効な早期診断法と治療法の開発を目指す。
研究方法
1)診療ガイドラインの策定
現在までに蓄積された中皮腫の病態、疫学、病理、診断、治療および成績に関する文献をEBMの手法によって集積・評価して、現状での診断治療指針を合理的に提示する。
2)前向き症例登録システムの構築
わが国における中皮腫治療の現状を把握するために、関係学会と連携しながら前向きに症例を登録・集積して本邦の現状を総括・提示する。登録システムを確立・整備するとともに、これと連携する血液検体および組織バンクを整備して、臨床病理データと関連した基礎研究を可能にする。
3)検診法の確立とその評価システムの構築
低濃度曝露の可能性のある一般住民を対象とした悪性胸膜中皮腫に関する検診を検診団体や関連医療機関の協力のもとで実施し、低濃度曝露からの発症についての疫学的解析の基盤整備を行う。
4)分子病理学的検討とマーカー開発
悪性中皮腫に特異的な血清タンパク質等を同定し、これを利用した中皮腫の血清診断用システムの開発と検診法を確立する試みをモノクローナル抗体の検討およびマイクロアレイ法による遺伝子解析をベースに行う。
結果と考察
診療ガイドラインについては策定を終了し、日本肺癌学会においてレビューを受ける手続きをとった。レビュー後、来年度の出版を目指す。
一般住民への検診研究は、受診者登録システムの開発が終了し、数施設で研究を開始した。今後のデータ集積が待たれる。
前向き症例登録は、登録票の策定と登録システムの改善を行い、国立がんセンター倫理審査委員会において、研究計画に関する承認を受けた。来年度より登録が開始される。
また、分子疫学的検討についても、マーカー候補の選定が進み、マイクロアレイ法による解析についても基礎的評価が終了した。
結論
包括的な悪性中皮腫関連研究として、研究を進めており、本年度は主として研究基盤の構築を行った。来年度以降、悪性中皮腫のわが国における診断・治療の実態が把握されるとともに、対策としての診断・治療手法の確立を目指す。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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