早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200622029A
報告書区分
総括
研究課題名
早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 学(国立がんセンター東病院内視鏡部/外来部/臨床開発センターがん治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 二瓶 圭二(国立がんセンター東病院臨床開発センター粒子線医学開発部)
  • 小野 裕之(静岡県立静岡がんセンター内視鏡科)
  • 田村 孝雄(神戸大学医学部附属病院消化器内科)
  • 田辺 聡(北里大学医学部消化器内科学)
  • 西崎 朗(兵庫県立成人病センター消化器科)
  • 高橋 寛(癌研究会有明病院健診センター)
  • 門馬 久美子(東京都立駒込病院内視鏡科)
  • 伊藤 芳紀(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
  • 千葉 勉(京都大学大学院医学研究科消化器内科学)
  • 飯石 浩康(大阪府立成人病センター消化器内科)
  • 金子 和弘(昭和大学第二内科)
  • 澤木 明(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
  • 小山 恒男(厚生連佐久総合病院胃腸科)
  • 小林 望(栃木県立がんセンター画像診断部)
  • 吉田 元樹(熊本地域医療センター消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治がんのひとつとされる食道がんが内視鏡診断技術の進歩によって早期の段階で発見されるようになり、より低侵襲で根治性の高い治療法の開発が求められるようになってきた。本研究では、これまで外科手術が標準治療であった粘膜下層浸潤食道がんに対し、低侵襲治療として内視鏡的粘膜切除(EMR)でtumor reductionを図った後に照射方法と照射総線量を工夫した化学放射線療法を組み合わせる非外科的治療の安全性と有効性を評価することを目的とする。
研究方法
「粘膜下層浸潤clinical stage I(T1N0M0)食道癌に対するEMR/化学放射線療法併用療法の有効性に関する第II相試験:JCOG0508」をJapan Clinical Oncology Group(JCOG)参加施設で実施する。Primary endpointは、EMR後の組織学的深達度診断により、pSM1-2かつ断端陰性と診断された患者における3年生存割合とした。Secondary endpointは、1)全適格患者の3年生存割合、2)全適格患者の無増悪生存期間、3)EMR後の組織学的深達度診断により、pM3かつ断端陰性と診断された患者における全生存期間、4)EMRによる有害事象、5)化学放射線療法による有害事象とした。予定登録数は、pSM1-2かつ断端陰性の患者を82名(全適格患者で137名程度を予定)登録する。登録期間は3年を見込んでおり、登録終了後5年追跡期間する(主たる解析は登録終了後3年)。
結果と考察
本研究は、症例登録段階であるためまだ研究成果はでていない。早期消化管癌に対する内視鏡治療が諸外国より普及しているわが国において、その有用性と安全性を科学的に評価する多施設共同前向き臨床試験はこれまで実施されてこなかった。加えて、本研究では、内視鏡治療、化学療法、放射線療法と多岐にわたる治療モダリティーを組み合わせて、それぞれのメリットを生かして低侵襲かつ根治性の高い治療を実現させることを目指している。この新しい挑戦を実施するにあたり、質の高い臨床試験を行うことが必要であり、本研究に参加するすべての研究者の理解と合意が重要である。
結論
これまで外科手術が標準治療であった粘膜下層に浸潤する食道癌に対し、内視鏡的粘膜切除後に化学放射線療法を追加する新しい治療戦略に関する多施設共同臨床試験を開始した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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