小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622021A
報告書区分
総括
研究課題名
小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児白血病およびリンパ腫の標準的治療法の確立のために質の高い臨床試験を実施する。また、そのための必要な研究基盤整備を行う。
研究方法
全国の小児がん研究グループの共同研究組織として設立された日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)において、小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に必要な臨床研究の基盤整備を行い、それに基づいて臨床試験を実施する。(倫理面への配慮)臨床試験を実施するにあたって①匿名化して個人情報を保護する。②統一された説明文書を用いて文書による同意を得る。③中央研究審査委員会および施設倫理委員会の承認の下に研究を実施する。
結果と考察
基盤整備として日本小児血液学会の疾患登録事業と連携を図りつつオンラインの登録システムを、また、より質の高い臨床試験デザインを作成するためのプロトコールレビューシステムを立ち上げた。免疫マーカー解析の外部精度管理を実施した。倫理的事項の整備として、余剰腫瘍検体の保存と研究利用についての規約、保存手順書および余剰腫瘍検体の研究用提供の説明文と同意文書を作成した。これにより今年度新たに開始した急性骨髄性白血病(AML)に対する臨床試験AML-05研究の余剰腫瘍検体の保存が可能となった。また、形態中央診断、免疫学的中央診断、遺伝子中央診断およびその余剰検体の中央管理システムの確立を行った。臨床試験の登録状況は、乳児MLL遺伝子再構成陽性ALLに対する臨床試験MLL03に41例、フィラデルフィア染色体陽性ALLに対する臨床試験Ph+ALL04に29例、未分化大細胞型リンパ腫に対する臨床試験ALCL99に70例、成熟B細胞性腫瘍に対する臨床試験B-NHL03に109例、付随研究である顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)予防的投与のランダム化比較試験(B-NHL03 G-CSF)に23例、進行期リンパ芽球型リンパ腫に対する臨床試験ALB-NHL03に52例、限局例に対するLLB-NHL03に3例が登録された。急性前骨髄球性白血病(APL)を対象としたAML-P05に8例、小児急性骨髄性白血病(AML)に対する臨床試験AML-05に28例が登録された。また、晩期障害を低減化した移植前処置の開発を目指した臨床試験FM-05を開始した。
結論
小児造血器腫瘍に対して全国規模の質の高い臨床試験が実施できる基盤が構築され、NHL、AMLの全国統一の臨床研究が開始され、わが国の小児造血器腫瘍の標準治療の確立が期待される。これらの臨床試験の登録数は順調に増えており今後の成果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-22
更新日
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