難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622019A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 大竹 茂樹(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 直江 知樹(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 品川 克至(岡山大学 医学部歯学部附属病院)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学 )
  • 小林 幸夫(国立がんセンター 中央病院)
  • 大野 竜三(愛知淑徳大学)
  • 本田 純久(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 金丸 昭久(近畿大学 医学部)
  • 脇田 充史(名古屋市立東市民病院)
  • 宮脇 修一(群馬県済生会前橋病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人白血病の標準的治療法の確立のため、遺伝子変異のスクリーニングによる疾患の層別化を行い、分子基盤に基づいた新たな標準的治療法の確立を目的とする。
研究方法
本年度は、急性骨髄性白血病(AML206試験)、Ph陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL206試験)、骨髄異形成症候群(MDS206試験)、慢性骨髄性白血病(CML206試験)に対し新たなプロトコールを策定し、AML206試験(新規分子標的薬ゲムツズマブ・オゾガマイシンと化学療法併用の第I/II相試験)、MDS206試験(化学療法にG-CSFプライミングを加えた第II相試験)では症例登録を開始した。同時に成人白血病および高リスク骨髄異形成症候群に対して前向きコホート研究を策定した。年齢により層別化されたPh陰性急性リンパ性白血病(ALL202試験:現在の登録数316例)、急性前骨髄球性白血病(APL204:122例) および再発急性前骨髄球性白血病(APL205R試験:17例)については現在登録を継続中である。本研究は全国184病院からなる成人白血病の多施設研究グループJALSGとの共同研究である。
結果と考察
急性骨髄性白血病に対するAML201試験(総登録数1063例)では第1回目の中間解析が終了し、ダウノルビシンの増量によりイダルビシンと同等の完全寛解導入効果(78%対79%)がもたらされることが実証された。しかもダウノルビシン群の化学療法に要する費用は約3分の1であり、有害事象もやや少ない結果であった。慢性骨髄性白血病に対する分子標的薬イマチニブによるCML202試験(489例)では観察期間中央値2年の中間解析を行い、完全細胞遺伝学的効果98%、4年予測生存率95%と欧米の大規模試験結果と比較して遜色ない成績が確認された。またPh陽性急性リンパ性白血病(100例)に対するイマチニブと化学療法併用の第2回中間解析結果は極めて優れる事が確認された。また新規薬剤導入の基礎データとしてJALSGの過去3試験からT細胞性急性リンパ性白血病の87例を解析し、5年生存率は35%である事が判明した。
結論
今年度解析が行われた研究においては、成人急性骨髄性白血病の標準薬としての増量ダウノルビシンの有用性と、慢性骨髄性白血病についてはイマチニブの日本人の大規模成績が欧米と同等である事が確認された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-