頭頚部がんの頸部リンパ節転移に対する標準的手術法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622018A
報告書区分
総括
研究課題名
頭頚部がんの頸部リンパ節転移に対する標準的手術法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
斉川 雅久(国立がんセンター東病院外来部)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 誠司(東京医科歯科大学)
  • 丹生 健一(神戸大学大学院医学系研究科)
  • 中島 格(久留米大学医学部)
  • 西條 茂(宮城県立がんセンター)
  • 吉積 隆(群馬県立がんセンター)
  • 西嶌 渡(埼玉県立がんセンター)
  • 川端 一嘉(癌研究会有明病院)
  • 大山 和一郎(国立がんセンター中央病院外来部)
  • 長谷川 泰久(愛知県がんセンター中央病院)
  • 藤井 隆(大阪府立成人病センター)
  • 冨田 吉信(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
頭頚部がんの頚部リンパ節転移に対する最も一般的な治療法は機能温存に主眼をおく頚部郭清術(機能温存術)である。その複雑な開発経緯から機能温存術には多くの術式が存在し、各術式の適応やリンパ節切除範囲、切除する非リンパ組織の種類などには大きな混乱が見られる。本研究の目的は、頚部郭清術に関するこれらの混乱を統一し施設差を解消することである。
研究方法
1)頚部郭清術の手術術式の均一化(ある施設の頚部郭清術を他施設の医師が直接見学調査することにより、頚部リンパ節切除範囲や切除する非リンパ組織の種類など術式の細部に関して均一化を図る)、2)頚部郭清術に関する原発部位別、進展度別ガイドラインの作成および修正、3)頚部郭清術の術後後遺症に関する調査、4)頚部郭清術の術後補助療法に関する検討、以上により頚部郭清術の標準化を目指す。
結果と考察
1)術式均一化に関する前向き研究において、予定症例数235例の登録を完了した。調査票の解析結果より、研究の第1段階(前半93例)から第2段階(後半142例)への進行に伴い施設差の程度が低下した項目が11項目存在したことが判明し、本研究が施設差の解消に貢献したことが明らかになった。2)舌がん、下咽頭がんおよび喉頭がんの頚部郭清術に関する文献調査を行った。頚部リンパ節転移の画像診断の実態を明らかにするため、全国112施設を対象としてアンケート調査を実施した。さらに検討を進め、文献調査結果および画像診断基準をガイドライン案に組み込む予定である。3)本研究班で考案した術後機能評価法を用いて術後後遺症の長期的経過観察を行う前向き研究を完了した。術後機能評価表の解析から、多くの術後後遺症が経過とともに改善傾向を示すこと、P領域(後頚三角領域)郭清を省略したり副神経を温存することが術後のQOLに寄与すること、が明らかになった。この結果に基づいて、術式の細部と術後機能の関係をより詳細に調査する新たな多施設共同研究を立案した。4)術後化学放射線同時併用療法に関する臨床第1・2相試験を継続し、第1相試験を7例に実施した。本研究協力施設はわが国を代表する施設であり、本研究によりこれらの施設における術式の細部などが標準化されれば、その結果としてわが国における頚部郭清術全体のレベルが向上すると期待される。
結論
術式均一化に関する前向き研究の症例登録を完了した。調査票解析により、本研究が施設差解消に貢献したことが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-