地域がん診療拠点病院の機能向上に関する研究

文献情報

文献番号
200622001A
報告書区分
総括
研究課題名
地域がん診療拠点病院の機能向上に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池田 恢(国立がんセンター中央病院 放射線治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報統計部)
  • 津熊秀明(大阪府立成人病センター調査部調査課)
  • 本荘 哲(栃木県立がんセンター研究所疫学研究室)
  • 西野善一(宮城県立がんセンター研究所疫学部)
  • 海崎泰治(福井県立病院臨床病理科)
  • 伊藤秀美(愛知県がんセンター研究所疫学部)
  • 加賀美芳和(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
  • 早川和重(北里大学医学部放射線医学教室)
  • 荻野 尚(国立がんセンター東病院臨床開発センター粒子線医学開発部)
  • 手島昭樹(大阪大学医学部保健学科)
  • 西尾禎治(国立がんセンター東病院放射線部)
  • 新保宗史(埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部)
  • 福村明史(放射線医学総合研究所医学物理部)
  • 加藤抱一(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 大山和一郎(国立がんセンター中央病院頭頸科)
  • 下山直人(国立がんセンター中央病院手術部)
  • 山口 肇(国立がんセンター中央病院内視鏡部)
  • 田中乙雄(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 篠田雅幸(愛知県がんセンター中央病院)
  • 清水秀昭(栃木県立がんセンター)
  • 坪佐恭宏(静岡県立がんセンター食道外科)
  • 澤田俊夫(群馬県立がんセンター)
  • 西條 茂(宮城県立がんセンター)
  • 高嶋成光(独法国病機構四国がんセンター)
  • 岡村 健(独法国病機構九州がんセンター)
  • 北條泰輔(国立がんセンター中央病院薬剤部)
  • 平出朝子(国立がんセンター中央病院看護部)
  • 大松重宏(国立がんセンター中央病院医療連携患者家族相談室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域がん診療拠点病院(現在の名称はがん診療連携拠点病院)の機能向上を目指して、院内がん登録の整備、放射線治療の物理技術での品質保証・管理、人的交流を通じた連携・研修教育システムの確立に向けた研究を実施する。
研究方法
院内がん登録のシステムは各施設において登録を医師以外で行うことを旨に、登録ソフト第2版の開発のほか、腫瘍登録士の認定のための講習、その他の作業を本年度も継続した。院内・地域・臓器3がん登録の共通項目を設定し相互の流通を図るよう努力した。放射線治療の物理技術品質保証・管理(放射線治療QA)小班は、各施設での加速器出力が正確であるかを測定素子の郵送または調査員の訪問により第三者的に調査、検証した。訪問・郵送の2手段のうち、郵送調査に関しては本年度で事業化の目途が立った。研修交流による連携・研修教育システムの確立を図る小班では本年度はコメディカル(薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー(以下、SW))を対象に研修を行った。それぞれ基幹病院を対象に薬剤師研修はがん専門薬剤師養成に向けての取り組みの紹介、看護師研修はがん化学療法看護に関する知識・技術・運用システム習得の模擬研修とその評価、SW研修は「がん医療におけるSWの技術向上とシステム化について」のワークショップを開催した。
結果と考察
院内がん登録 がん臨床・池田班(院内がん登録)と対がん・祖父江班(地域がん登録)の合同WG会議で2006年9月時点で、標準項目を必須項目とし、さらに地域がん登録の標準登録票項目を導出する形で2006年度版<修正版>を公開した。院内がん登録とその実務者への支援について、院内がん登録支援システム(HosCan-R)の提供その他多様な活動を行った。放射線治療QAはガラス線量計素子の照射による出力測定研究(郵送調査法)の結果から事業化が決定された。郵送調査に関する判定・行動基準は別に決められている。コメディカルの研修が相応に成果を挙げたと共に、各県単位では地域の研修交流を積極的に進める自治体が出始めている。
結論
(1)院内がん登録、(2)放射線治療の物理技術での品質保証・管理、(3)人的交流の面から研究を行った。平成18年6月にがん対策基本法が制定されたことでがん対策に関する一般の認識が深まっているが、その内容にも当班の研究方向・成果が反映されたものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200622001B
報告書区分
総合
研究課題名
地域がん診療拠点病院の機能向上に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池田 恢(国立がんセンター中央病院 放射線治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん情報対策センターがん情報・統計部)
  • 津熊秀明(大阪府立成人病センター調査部 調査課)
  • 本荘 哲(栃木県立がんセンター研究所疫学研究室)
  • 西野 善一(宮城県立がんセンター研究所疫学部)
  • 伊藤 秀美(愛知県がんセンター研究所疫学・予防部)
  • 海崎泰治(福井県立病院臨床病理科)
  • 加賀美 芳和(国立がんセンター中央病院 放射線治療部)
  • 早川和重(北里大学医学部放射線医学教室)
  • 平岡真寛(京都大学医学研究科腫瘍放射線科学)
  • 荻野 尚(国立がんセンター東病院粒子線医学開発部長)
  • 遠藤 真広(独立行政法人放射線医学総合研究所開発推進部)
  • 手島 昭樹(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 禎治(国立がんセンター東病院 物理専門官)
  • 新保宗史(埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部)
  • 福村 明史(放射線医学総合研究所企画部企画課)
  • 加藤抱一(国立がんセンターがん対策情報センター長)
  • 大山和一郎(国立がんセンター中央病院頭頸科)
  • 下山直人(国立がんセンター中央病院手術部)
  • 山口 肇(国立がんセンター中央病院内視鏡部)
  • 田中乙雄(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 篠田雅幸(愛知県がんセンター中央病院)
  • 清水秀昭(栃木県立がんセンター)
  • 坪佐 恭宏(静岡県立静岡がんセンター)
  • 澤田 俊夫(群馬県立がんセンター)
  • 西條 茂(宮城県立がんセンター)
  • 高嶋 成光(国立病院機構四国がんセンター)
  • 岡村 健(国立病院機構九州がんセンター)
  • 北條泰輔(国立がんセンター中央病院薬剤部)
  • 平出朝子(国立がんセンター中央病院看護部)
  • 大松重宏(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域がん診療拠点病院(現在の名称はがん診療連携拠点病院)の機能向上を目指して、院内がん登録の整備・普及、放射線治療の物理技術および臨床面での品質保証・品質管理および人的交流を通じての連携・研修教育システムの確立に向けた研究を実施する。

 

 

研究方法
院内がん登録に関して、登録様式の検討、登録ソフトHosCanR ver. 2の開発および診療情報管理士に対して腫瘍登録士への認定のための講習その他の具体的作業を行い、その普及を図るとともに、関連がん登録と共通項目の設定などで相互交流を図る(院内がん登録小班)。放射線治療のQAは、物理技術および臨床面での品質保証・品質管理を第三者的に検証する。(放射線治療QA小班)。方式として訪問調査、郵送調査の2通りを実施する。測定器・素子を郵送あるいは調査員が訪問して調査の両方を行う。よりよいがん診療システムを構築するには人的交流を通じての連携・研修教育システムの確立が必要である。研修に関して段階的に国立がんセンターから都道府県拠点病院へのシステム研修を8施設に対して、またコメディカル(薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー)対象の研修を実施した。
結果と考察
院内がん登録に関しては、登録様式について標準様式2003年版を改訂した2006年版標準登録様式修正版を作成した。各施設において登録を医師以外で行うことを旨に、登録ソフトHosCanR ver. 2の開発その他を行った。放射線治療物理技術QAに関しては研究期間中ガラス線量計素子の照射による出力測定研究(郵送調査法)を調査施設数56、ビーム数100に対して、また訪問調査では100施設に対して実施した。ガラス線量計素子の照射による出力測定(郵送法)が事業化の目途が立った。がん診療システムの研修は8施設の評価は好評であり、また2,3年度には地域での研修に発展し、積極的な相互交流の成果と問題点が指摘されている。コメディカル研修も従来は実施していなかった事項であり、好評であった。
結論
(1)院内がん登録、(2)放射線治療の物理技術および臨床面での品質保証・品質管理、(3)人的交流の面から研究を行った。平成18年6月にがん対策基本法が制定されたことでがん対策に関する一般の認識が深まり、内容も当班の従来からの研究の方向が反映されている。当班の研究成果を反映していただいたものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200622001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がん登録合同委員会(JCCR:Joint Committee of Cancer Registry)委員会により2006年10月2日に公表した『がん診療連携拠点病院 院内がん登録 標準登録様式 登録項目とその定義 2006年度版修正版』(以下、2006年度修正版)により、わが国におけるがん登録が推進され、外国と比較可能なデータが集計される。
臨床的観点からの成果
がん診療をシステムとして研修しようとする動きが近年活発化しており、当班の活動が先鞭をつけたものと考えられる。
 がん登録を地域がん・院内がん・臓器がんの3者間で調整の動きがあり、これが実現すると医療者が最も望んでいる臓器ごとのがん登録と臨床現場への還元も実現する。
 放射線治療QAの向上は、ひいては診療放射線治療の品質の向上の形で反映される。
ガイドライン等の開発
院内がん登録:平成18(2006)年3月に本研究班に地域がん登録の関係者を加えたがん登録合同委員会(JCCR:Joint Committee of Cancer Registry)委員会を組織し、同年10月2日に、『がん診療連携拠点病院 院内がん登録 標準登録様式 登録項目とその定義 2006年度版修正版』(以下、2006年度修正版)を公表した。
その他行政的観点からの成果
拠点病院の県と地域への2階層化は、当班が提案したものである(概念図は18年度報告書67ページ図1)。
 放射線治療品質保証に関する第三者検証システムは、郵送調査法が平成19年度に事業化(医用原子力技術研究振興財団)へ移行した。
その他のインパクト
がん登録に関しては、拠点病院の必須項目でもあり、がん対策基本法でも謳われているので、報道関係が頻回に取り上げている。医療連携に関しても頻回に取り上げられる。拠点病院の放射線治療面からの分析はじほう社「Japan Medicine」2006年11月号で取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
102件
原著論文(英文等)
55件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
84件
学会発表(国際学会等)
24件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
平林由香、西本寛、味木和喜子、他
がん診療連携拠点病院院内がん登録標準登録様式登録項目とその定義2006年度版修正版による登録:診療情報管理士の役割
メディカルレコード , 32 (2) , 9-12  (2006)
原著論文2
平林由香、西本寛、味木和喜子、他
がん診療連携拠点病院院内がん登録における診療情報管理士の役割
メディカルレコード , 32 (1) , 6-10  (2006)
原著論文3
江森佳子、今村由香、西本寛、他
がん診療連携拠点病院における院内がん登録標準化システムについて
ITヘルスケア学会学術学会抄録集 , 17 (3) , 18-22  (2006)
原著論文4
西本寛
がん登録システム
癌の臨床 , 52 (7) , 1-5  (2006)
原著論文5
西本寛
がん登録と診療情報管理 -院内がん登録を中心に-
診療情報管理マニュアル  (2007)
原著論文6
Kotake K, Honjo S, Koyama Y,
Multi-institutional registry of large bowel cancer in Japan. Vol. 26 Cases treated in 1996.
Jpn Soc Cancer Colon Rectum  (2006)
原著論文7
Ishiyama H, Kitano M, Satoh T et al.
Difference in rectal dosimetry between pre-plan and post-implant analysis in transperineal interstitial brachytherapy for prostate cancer.
Radiother Oncol , 78 (3) , 194-198  (2006)
原著論文8
Namiki S, Satoh T, Ishiyama H, et al.
Quality of life following brachytherapy or radical prostatec&not;tomy for localized prostate cancer: A prospective longitudinal study.
Urology , 68 , 1230-1236  (2006)
原著論文9
Aoyama H, Shirato H, Tago M, et al.
Stereotactic radiosurgery plus whole- brain radiation therapy vs stereotactic radiosurgery alone for treatment of brain metastases: a randomized controlled trial.
JAMA , 295 (21) , 2483-2491  (2006)
原著論文10
Niibe Y, Kazumoto T, Toita T, et al.
Frequency and characteris&not;tics of isolated para-aortic lymph node recurrence in patients with uterine cervical carcinoma in Japan: A multi-institutional study.
Gynecol Oncol. , 103 (2) , 435-438  (2006)
原著論文11
Niibe Y, Kenjo M, Kazumoto T, et al.
Japanease Isolated Para- aortic Lymph Node Recurrence of Uterine Cervical Carcinoma Study Group.
Int J Radiat Oncol Biol Phys , 66 (5) , 1366-1369  (2006)
原著論文12
Atagi, S, Ishikura, S, Ikeda, H, et al.
Standard thoracic radiotherapy with or without concurrent daily low-dose carboplatin in elderly patients with locally advanced non-small cell lung cancer: a Phase III trial of the Japan Clinical Oncology Group (JCOG9812).
Jpn J Clin Oncol , 35 , 195-201  (2005)
原著論文13
Ishii, H, Ogino, T, Ikeda, H, et al.
Hepatic arterial infusion of 5-fluorouracil and extrabeam radiotherapy for liver metastases from pancreatic carcinoma.
Hepato-Gastroenterology , 51 , 1175-1178  (2004)
原著論文14
Okusaka, T, Ito, Y, Ikeda, H et al.
Phase II study of radiotherapy combined with gemcitabine for locally advanced pancreatic cancer.
Brit J Cancer , 91 , 673-677  (2004)
原著論文15
新保宗史、西尾禎治、遠藤真広、他
外部照射(X線)治療の線量に関する品質保証(QA)についてのアンケート調査結果(1)-1.
日放腫会誌 , 16 (3) , 111-119  (2004)
原著論文16
池田 恢
わが国の放射線治療の現況と展望
医療 , 58 (5) , 284-288  (2004)
原著論文17
池田 恢、廣川 裕、早渕尚文
放射線治療システムの品質保証・品質管理
映像情報メディカル , 36 (12) , 1352-1356  (2004)
原著論文18
池田 恢、遠藤真広、広川 裕、他
放射線治療事故を今後にどう生かすか ―第17回学術大会シンポジウム5のまとめ―
日放腫会誌 , 17 (3) , 133-139  (2005)
原著論文19
池田 恢
がん医療の均てん化に向けて
日放腫会誌 , 18 (2) , 61-65  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-09-24
更新日
-