情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究

文献情報

文献番号
200621042A
報告書区分
総括
研究課題名
情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中田 善規(帝京大学 医療情報システム研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 国際教育研究所)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学 産婦人科学教室)
  • 宮腰 重三郎(東京都老人医療センター 血液内科)
  • 小松 恒彦(筑波記念病院 血液内科)
  • 中村 利仁(北海道大学医学部 社会医療管理学)
  • 田中 祐次(血液患者の会NPOももの木)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部 生物統計学)
  • 湯地 晃一郎(東京大学医科学研究所 内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
24,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、患者の視点に立ち、ホームページを利用した医療情報伝達の利点・問題点を明らかにし、治療に関する正確な情報が容易に入手できるツールの開発を目指す。
研究方法
(1)既存のがん関連サイトの調査研究
 患者の行動に大きな影響を与えるがん関連サイトの中で日本語で書かれたもののうち最もアクセス数の多いものを300サイト選定し、それらのサイトの属性・開設者・他サイトとのリンクなどのプロフィールについて調査した。
(2)産婦人科患者の情報研究
 2006年6月、2007年2月に、Googleを用いて、福島大野病院事件に言及されたウェブサイトを検索した。
(3)さまざまな臨床現場での情報研究
 高齢者がん患者へのがん告知を検討した。
(4)がん患者の情報開示に関する研究
 がん患者の情報開示に関する研究として、がん患者・家族向けシミュレーションに関する研究を行った。
結果と考察
(1)既存のがん関連ホームページの調査研究
 「国立がんセンター」の影響力が非常に大きいことがわかった。健康食品系のサイトの数が、医療関連サイトの数を上回っていた。訪問者ライフスタイルでは、病院系サイトは、土曜が最も低く、次に日曜が低い。闘病記サイトはほとんど曜日変動が無く、夜間にピークが来ているのも特徴的であった。
(2)産婦人科患者の情報研究
 逮捕の不当性を主張し、産科医療、医療事故の問題点を議論したものが98.6%と高率であった。
(3)さまざまな臨床現場での情報研究
 高齢がん患者の情報は主に子どもからで、インターネットを中心に情報収集されていた症例は7例。残りの2例は家族が情報収集してこず、複数回の説明を必要とした。
(4)がん患者の情報開示に関する研究
 医療従事者向けのシミュレーションは教育目的に広く行われているが、患者・家族向けのシミュレーションの試みは乏しい。
結論
 この多面的研究により、患者と家族に正確な情報の理解・共有がなされ、インターネットを通じてメディカル・リテラシーが向上すれば、「患者納得感」形成に大きく寄与する。また、医療費の最適化、医療の均てん化、がんの実態把握と情報・診療技術の発信・普及、最新のがんの知見及び診療に関する情報を発信・普及するためのネットワーク整備につながると予想される。

公開日・更新日

公開日
2009-07-06
更新日
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