社会学・心理学等との連携による国民のリテラシー向上と患者の納得形成に関する研究

文献情報

文献番号
200621041A
報告書区分
総括
研究課題名
社会学・心理学等との連携による国民のリテラシー向上と患者の納得形成に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 英昭(杏林大学医学部医療管理学)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学政治経済学部)
  • 土屋 了介(国立がんセンター中央病院)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学産婦人科講座)
  • 宮腰重三郎(東京都老人医療センター血液内科)
  • 小松 恒彦(筑波記念病院血液内科)
  • 小原まみ子(亀田総合病院腎臓内科)
  • 中村 利仁(北海道大学医学部)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部)
  • 湯地晃一郎(東京大学医科学研究所)
  • 松村 有子(東京大学医科学研究所)
  • 濱木 珠恵(東京都立府中病院輸血科)
  • 小林 一彦(JR東京総合病院血液内科)
  • 久住 英二(福島刑務所医務課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療現場の具体的な事実に基づいた正確な情報を正確に共有し、国民のリテラシーを向上させることによって的確な理解を可能にし、関係者が立場を超えて、我が国の医療全体を良くするという観点から英知を持ち寄り、方策を立案することが強く訴求されている。従って本研究の目的を、1)メディアによる様々な医療報道内容を検証し、医療報道のあり方について探索研究すること、2)様々な媒体との連携を通して健全な医療メディア育成モデルの構築を試みること、3)患者の視点に立った情報発信の新規モデル構築を試みることとする。
研究方法
医療に関する知識を、患者は何から得ているのか、医師はそれを認識しているかについて、アンケート調査を行った。医療に関する情報を扱うメディアの特性を明らかにするため、メディアが医療情報を伝達した事例研究を行った。テレビについてはがんに関する特集番組、新聞報道については福島県立病院の産科医師逮捕事件、インターネットはがんに関する一般的な情報、院内フリーペーパーによる医療リテラシー向上の試みを事例研究した。
結果と考察
患者のがん医療情報入手手段に関する調査では、医師の認識以上に、インターネットや各種情報手段を用いて、患者同士が情報交換を行っていることや、医師のマスメディアに対する満足度は、患者と比較して圧倒的に低いということが明らかになった。患者が情報を得やすい情報ツールを用いて、患者同士などの情報交換を円滑にするシステムを構築することや、医師とマスメディアの信頼関係の構築が必要であると考えられる。
事例研究では、報道番組が実際の診療に影響を与える可能性や医療事件報道内容の経時的変化を具体的に検証した。マスメディアは、事件や稀少なことを報道する特性があるため、マスメディア側の論理のみで医療を扱うと、医療リテラシーの向上に資する内容にはならない。医療関係者とメディア関係者のコミュニケーションを広げることが重要であると認識された。
院内フリーペーパーは患者と医療従事者を結ぶメディアになる可能性がある。
結論
医療情報に関する入手手段は多種多様化し、メディカルリテラシー向上のためには、様々な情報ツールの特性を検討し、適切な情報提供を行う必要がある。報道関係者と医療従事者との密接な情報提供と議論が必要である。また患者は多彩な情報を求めており、新たなツールの開発も必要とされている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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