希少がん(悪性脳腫瘍)の個別適正化治療のためのTRI(Translational Research Informatics)システムの構築

文献情報

文献番号
200621038A
報告書区分
総括
研究課題名
希少がん(悪性脳腫瘍)の個別適正化治療のためのTRI(Translational Research Informatics)システムの構築
課題番号
H18-3次がん-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
成田 善孝(国立がんセンター中央病院・研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 渋井 壮一郎(国立がんセンター中央病院)
  • 西川 亮 (埼玉医科大学医学部)
  • 淺井 昭雄(関西医科大学医学部)
  • 中西 幸浩(国立がんセンター研究所病理部)
  • 齋藤 彰(日本電気株式会社 NEC中央研究所)
  • 秋葉 幸範(日本電気株式会社 NEC中央研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
悪性脳腫瘍(glioma)はあらゆる癌の中で最も治療が困難であるものの、症例が少なく単施設での症例集積や臨床試験は困難である。治療成績向上のためには個々の症例の臨床情報・遺伝子情報を統括して詳細に解析する、いわば“症例集”のような統合型データベースを構築し、これを参考に新規症例の治療効果・治療上の問題点を予測したうえで治療をすすめる必要がある。
研究方法
悪性脳腫瘍を対象とし多施設で集められた匿名化臨床情報、画像情報、病理情報、腫瘍検体の遺伝子・プロテオーム情報をデータベース化し、治療効果の予測・治療上の問題点を明らかにするTRI(Translational Research Informatics)システムを、日本電気バイオインフォーマティックス部門と共同で開発をすすめた。170例の国内最大の悪性脳腫瘍のMicroarrayを用いた遺伝子情報を、病理診断・放射線化学療法などの治療効果をもとに解析中で、診断・治療効果に関連する遺伝子を抽出し、その有用性を検証した。
結果と考察
 Microarrayによる遺伝子発現マイニング・解析ソフトとしてChromsome viewerなどを開発し、悪性脳腫瘍の化学療法の感受性に関係していると考えられる遺伝子について、OligodendrogliomaとAstrocytomaに発現している遺伝子の差を検討した。また、髄液蛋白のプロテオーム解析を行い、中枢性悪性リンパ腫の新たな診断マーカーの探索を行った。この髄液蛋白の解析技術は、脳腫瘍の診断・治療だけでなく、難治性神経内科疾患の診断・治療への応用も期待される。
結論
TRIシステムにより、治療を行った過去の症例や遺伝子・蛋白研究を無駄にすることなく、網羅的に収集・蓄積された臨床および遺伝子・病理などのバイオ情報を長期にわたり基盤的に蓄積可能とし、治療法の探索・予後推測などを強力に支援し、個々の患者に最適化された治療法の開発が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-02
更新日
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