新しい診断機器の検診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200621035A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい診断機器の検診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
斉藤 大三(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村哲也(獨協医科大学病院光学医療センター内視鏡部門)
  • 石川 勉(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 杉村和朗(神戸大学大学院医学系研究科放射線医学分野)
  • 井上登美夫(横浜市立大学大学院医学研究科 放射線医学)
  • 中山富雄(大阪府立成人病センター 調査部疫学課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年開発された診断装置の診断能の検証ならびに既存の診断装置の改良および対象臓器の拡大などの検討から、効果的かつ効率的にがんを早期発見するための新しい検診法の開発を目的とする。
研究方法
(1)狭帯域分光内視鏡(Narrow Band Imaging:NBI)システムにおける消化管がん診断の有用性に関する5施設共同ランダム化比較試験(320例)、(2) GERDおよびバレット食道20症例に対する小腸用カプセル内視鏡(PillCamTMSB)画像、(3) Tissue Harmonic Imaging(THI)法を導入した超音波検診システムの有用性、 (4)汎用型MRIによるがん全身スクリーニング法の開発および子宮がん検診のための高速撮像法、(5)PETがん検診における登録分析、要精査基準、診断支援システムの開発について検討し、(6)各研究の成績に基づき、モデル分析の手法を用いて検診に投入した場合の効果予測や医療経済学的な問題点を探る。
結果と考察
(1)中・下咽頭および食道病変に対する診断精度は、それぞれ白色光の61.8%, 55.3%に比し、NBIでは89.7%、90.2%と優れていた。(2) PillCamTMSBによる診断可能例は、GERD 6例(30%)、バレット4例(20%)のみであった。(3)人間ドックにおける有所見率、要精検率、がん発見率、また多施設共同研究による膵疾患の比較読影結果もTHI法は従来法より優れていた。(4) 放射線被曝のない拡散強調像は全身を20分程度で撮像でき、また10mm程度の病巣を高率に検出できた。高速撮像法は呼吸運動や腸管蠕動を抑制でき、子宮・卵巣がん検診に用い得ると考えられた。(5) 2005年度、46施設、受診件数50,558件のFDG-PETがん検診におけるがん発見率は1.14%であった。
結論
(1)咽喉頭・食道がんの早期発見にはNBI観察が第1選択となる可能性が示唆された。(2)小腸用カプセル内視鏡は食道検診には不適であり、撮影枚数、画質などの改良型食道用カプセル内視鏡を導入した上での再検討が必要である。(3)腹部超音波検診におけるTHI法の有用性が確認された。(4)拡散強調画像、高速撮像法によるMRIを用いたがん検診の目途がついた。(5)FDG- PETがん検診においては、正常例の読影のばらつきが確認され、要精査判断基準の標準化が課題である。(6)検診における医療経済効果を比較するためには、個別臓器にとどまらず複数臓器の組み合わせモデルを作成する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-