肺腺癌の診断および悪性腫瘍度予測のためのAcetate-PETの臨床応用研究

文献情報

文献番号
200621034A
報告書区分
総括
研究課題名
肺腺癌の診断および悪性腫瘍度予測のためのAcetate-PETの臨床応用研究
課題番号
H18-3次がん-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
野守 裕明(熊本大学大学院 医学薬学研究部呼吸器外科)
研究分担者(所属機関)
  • 高浪 巌(帝京大学医学部 呼吸器外科)
  • 呉屋 朝幸(杏林大学医学部 呼吸器外科)
  • 小泉 潔(日本医科大学 呼吸器外科)
  • 鈴木 隆(昭和大学医学部付属藤が丘病院 胸部外科)
  • 冨吉 勝美(熊本大学大学院医学薬学研究部保健学科 医用工学)
  • 宇野 公一(西台クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,607,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺癌に対するPET診断としてfluorodeoxyglucose (FDG)が使用されているが、FDG-PETの弱点の一つは「高分化腺癌の約60%が陰性となる」ことである。本研究の目的は肺腺癌、特に高分化腺癌の診断および悪性腫瘍度の判定におけるAcetate-PETの有用性を検討することである。
研究方法
CTにてground-glass opacity(GGO)の陰影を呈して高分化肺腺癌を疑われた症例、あるいは生検で高分化腺癌と診断された症例で手術を行う症例に対して、術前にFDG-PETとAcetate-PETを施行した。
腫瘍増殖度のマーカーとしてKi-67, Cyclin D1, P53を用いて免疫染色を行った。
27例の多発GGO症例において異型腺腫、肺胞上皮癌、高分化腺癌におけるEGFR遺伝子変異を検討した。
腺癌術後再発によりゲフィチニブを投与した症例において、原発巣におけるEGFR遺伝子変異とゲフィチニブ奏功の関連性を検討した。
結果と考察
①82例の腺癌においてはFDG(-)であった症例が41例あり、それらは全て高分化腺癌であった。FDG(-)の高分化腺癌41例中、Acetate(+)は15例(36%)であった。またAcetate(-)FDG(-)の症例は肺胞上皮癌が多かった。
②FDG集積度と相関性が認められたものはKi-67 indexのみであった。
③高分化腺癌、肺胞上皮癌、異型腺腫のEGFR変異率はそれぞれ80%, 57%, 10% で、高分化腺癌の変異率はその他(肺胞上皮癌と異型腺腫)と比較して有意に高率(p=0.04) であった。
④EGFR遺伝子変異はゲフィチニブに奏功した14例中12例(86%)、SD症例3例中2例、PD19例中2例(11%)に認められ、ゲフィチニブの奏功性と有意な相関を示した(p<0.01)。
結論
①FDG-PET(-)となる高分化腺癌の36%がAcetate-PETで(+)として写し出された。
②FDG集積度と相関の認められた悪性増殖度のマーカーはKi-67のみであった。
③EGFR遺伝子変異が異型腺腫、肺胞上皮癌、腺癌になるに従い陽性度が増した。
④EGFR遺伝子変異はゲフィチニブの奏功性と有意な相関を示した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-01
更新日
-