独自開発した多因子による癌特異的増殖制御型アデノウイルスベクターによる革新的な癌遺伝子治療法の開発

文献情報

文献番号
200621020A
報告書区分
総括
研究課題名
独自開発した多因子による癌特異的増殖制御型アデノウイルスベクターによる革新的な癌遺伝子治療法の開発
課題番号
H16-3次がん-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小戝 健一郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小宮 節郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 高橋 知之(久留米大学 高次脳疾患研究所)
  • 神囿 純一(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、我々が独自開発したm-CRA作製システムによりオリジナルm-CRAを作製(開発)し、そのm-CRA癌遺伝子治療
の治療効果と有用性を科学的に検討し、この独自のm-CRAによる革新的な癌遺伝子治療法を世界に先駆け開発、確立するこ
とを最終目的とする。
研究方法
前年度までに開発したSurvivin依存性m-CRA (Surv.m-CRA)を、m-CRA化により癌治療効果と癌特異性をさらに向上させる研究を行った。まず先行したTert.m-CRAで基礎となるm-CRA化を確立して、Surv.m-CRAに成果を応用した。さらにSurv.m-CRAの開発と同様の過程と方法で、さらに新しい機序による革新的m-CRA開発を試みた。
結果と考察
Tert.m-CRAにおいて、4因子のm-CRA化により、癌治療効果を維持して癌特異性を向上できることを明確にできた。これをSurv.m-CRAに応用して、さらに改良された4因子制御Surv.m-CRAが確立できた。癌治療効果を増強する6因子制御m-CRAも作製して、性能を検証中である。また一方で新しい発展的取り組みとして、全く新たな概念に基づくm-CRAの作製ができ、基礎的なデータもとれた。また癌幹細胞を標的とするm-CRAの開発のため、ES細胞で技術開発を行った。
結論
改良型Surv.m-CRAが確立でき、臨床化への道筋がより明確となった。また癌幹細胞を標的とする革新的なm-CRAの研究基盤が確立できた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200621020B
報告書区分
総合
研究課題名
独自開発した多因子による癌特異的増殖制御型アデノウイルスベクターによる革新的な癌遺伝子治療法の開発
課題番号
H16-3次がん-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小戝 健一郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小宮 節郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 高橋 知之(久留米大学 高次脳疾患研究所)
  • 神囿 純一(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、我々が独自開発したm-CRA作製システムによりオリジナルm-CRAを作製(開発)し、そのm-CRA癌遺伝子治療
の治療効果と有用性を科学的に検討し、この独自のm-CRAによる革新的な癌遺伝子治療法を世界に先駆け開発、確立するこ
とを最終目的とする。
研究方法
初年度は、多種多様なm-CRAの迅速作製が可能という本法の有用性の実証、そして新規の画期的な癌治療薬となるSurvivin依存性m-CRA (Surv.m-CRA)という新規m-CRAの開発にも成功した。そして次年度より、 最適m-CRA化と画期的な癌遺伝子治療法の確立と、新規m-CRAの開発研究を進めた。3年目の最終年度はさらに発展させ、具体的に4因子制御のSurv.m-CRA化、6因子制御m-CRAの作製、そして一方、癌幹細胞を標的とする革新的なm-CRA開発のための基礎的研究をES細胞でおこなった。
結果と考察
我々が開発したSurv.m-CRAは初期タイプですら、既報告で最高のTert.CRAを、癌治療効果と癌特異性の両面で凌いでいた。さらに発展させた改良型4因子制御Surv.m-CRAは、癌治療効果は維持したまま癌特異性がさらに向上したものとなった。さらに治療遺伝子ユニットを加えた6因子搭載のm-CRAを作製、検証している。このようにSurv.m-CRAは着実に臨床化へ研究を進展させる一方で、新規分子による画期的なオリジナルm-CRA開発にも取り組み、その作製も終わり性能検証にまで進行している。またES細胞により新しい技術開発とアデノウイルスの有用性を明確にでき、さらに癌幹細胞を標的とする革新的m-CRA開発のための準備が整った。
結論
よって3年間の成果をまとめると、Surv.m-CRAの臨床化への研究で着実な成果を上げ、またその準備も進めることができ、そしてさらに、Surv.m-CRAに続く革新的なm-CRAの開発研究も順次進んだというものである。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200621020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我々は自身の研究室で完全オリジナルのm-CRA作製技術開発を行い、そして医薬として既存のCRAを凌ぐSurv.m-CRAの開発にも成功した。さらには臨床化のためにm-CRA化による改良を進める一方で、新規の癌特異化機序によるm-CRAや癌幹細胞を標的とする革新的m-CRAの開発のための基礎研究を進めた。このように、この癌遺伝子治療の分野での科学的発展に大きく貢献する科学的・学術的成果を得たものである。
臨床的観点からの成果
癌遺伝子治療は初期の臨床試験は世界でも期待された成果が得られていない。さらに本邦での臨床試験においては、独自開発したベクター/臨床プロトコールに基づくものは少ないため、本邦での一般医薬化に繋がり難いという問題があった。我々はベクター作製法から開発し、既存のCRAを凌ぐSurv.m-CRA医薬にも成功したものであり、そしてこれらは知財を確保している。よって本研究成果は本邦独自での医薬化に繋がるという点で、臨床的観点からも価値が高い。現在、臨床化の準備を進めている。
ガイドライン等の開発
特にガイドラインの開発に関連する研究課題ではない。一方、CRA癌治療における研究のやり方という点では、我々がm-CRAの効率的な作製法を開発して、それによりCRA開発の科学研究をシステムだって行ったという初めての例であり、この分野に与えた影響は大きいと思われる。
その他行政的観点からの成果
本邦の厚生行政にとって重要なのは、本邦でオリジナルの研究で成果を上げ、知財の確保をして、一般医薬化を目指すことである。この観点から我々は本研究において全て本邦で独自開発し、ベクター作製の基本特許から、癌治療の医薬特許まで知財としても確保してきた。よって本研究の成果は、今後は最終的な本邦主導での一般医薬化による国民福祉の向上へまで将来性が期待できるということで、厚生行政的に非常に価値が高いものである。現在、臨床化の準備を進めている。
その他のインパクト
成果を国際誌への論文発表と国際学会で発表し、この分野の研究にインパクトを与えた。国内でも研究者向けには学会のシンポジウムや特別講演で成果を積極的に発表し、また市民公開講座などで発表することで、成果を広く知らせ、反響を得てきた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
21件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
34件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計5件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Murofushi Y, Nagano S, Kamizono J etal.
Cell cycle-specific changes in hTERT promoter activity in normal and cancerous cells in adenoviral gene therapy: A promising implication of telomerase-dependent targeting cancer gene therapy.
Int J Oncol. , 29 , 681-688  (2006)
原著論文2
Kamizono J, Nagano S, Murofushi Y etal.
Survivin-responsive conditionally replicating adenovirus exhibits cancer-specific and efficient viral replication.
Cancer Res , 65 , 5284-5291  (2005)
原著論文3
Nagano S, Oshika H, Fujiwara H etal.
An Efficient Construction of Conditionally Replicating Adenoviruses that Target Tumor Cells with Multiple Factors.
Gene Ther , 12 , 1385-1393  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-09-24
更新日
-