革新的な診断技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200621012A
報告書区分
総括
研究課題名
革新的な診断技術の開発に関する研究
課題番号
H16-3次がん-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森山 紀之(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 剛延(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 松野 吉宏(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 井野 彰浩(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター)
  • 仁木 登(国立大学法人徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
82,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)診断用ME機器の開発を行い検診,臨床におけるがん画像診断能の向上を目指す2)高精度がん検診を実際に行い各種検査法による診断精度を明らかとする3)大腸がんに対する全大腸内視鏡検査による適切な検診間隔についての設定を行う4)病理画像,臨床画像のデーターベース化を行い画像診断に対する均てん化を進める5)コンピューター支援がん画像診断装置(CAD)の開発を進め普及させる
研究方法
1)250列マルチスライスCT,120マイクロメーターの解像度を有する拡大CTの開発を行い臨床撮影実験を行った2) PET,CT,内視鏡,US,マンモグラフィー等を用いた高精度がん検診を行った3)全大腸内視鏡検査を行い37011例のコホートを用いて適切な検査間隔の設定を行った4)典型例,稀な症例,教育的な症例に対し病理および臨床画像のデーターベース化を行った.患者およぎ患者家族に対する"癒し・憩"の画像データーベース化の構築を進めた5)肺がん,乳がんに対するCADの開発と臨床応用を進め臨床症例に対する読影実験を行った
結果と考察
1)256列マルチスライスCTの臨床応用により時間軸を考慮に入れた画像構成に成功した.人体用拡大CTでは肺の小結節に対する優れた診断能を有することが判明した2)高精度がん検診では5,296人中254人(4.8%)に何らかのがんが発見された 3)全大腸内視鏡検査に対するコホート研究では検診間隔は正常群では3ー5年,腺腫を有する群では1ー3年間隔での検診の必要性が示唆された4)病理,臨床画像データーベース構築に関しては縦隔,消化管,腹部実質臓器を中心とした画像の登録が進められた5) 肺がん,乳がんに対するCADの開発では実用化に向けてのデーター取得が行われた
結論
1) 256列CTによって時間軸方向の情報を有するCT診断が可能となった.拡大CTによって肺の小結節に対する質的診断能が飛躍的に向上した2)高精度のがん検診を行うことにより40才以上の男女で4.8%の割合で何らかのがんが発見された3)全大腸内視鏡検査では正常群では3ー5年,腺腫を有する群では1ー3年間隔での検診が適当と考えられた4)病理,臨床画像データーベース構築により画像診断に対する均てん化が得られる5) 肺がん,乳がんに対するCADの開発を行い臨床で使用可能なシステムの構築を行った

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200621012B
報告書区分
総合
研究課題名
革新的な診断技術の開発に関する研究
課題番号
H16-3次がん-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森山 紀之(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松野 吉宏(国立がんセンターがん対策情報センター(H16-18年度)(現;北海道大学病院病理部))
  • 仁木 登(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター(H16-18年度))
  • 井野 彰浩(国立大学法人徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部(H17-18年度))
  • 和田 進(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター(H16年度)(現;麻布飯塚病院画像診療科))
  • 島田 剛延(宮城県対がん協会がん検診センター (H18年度))
  • 斎藤 博(国立がんセンターがん予防・検診研究センター(H16-17年度))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)診断用ME機器の開発を行い検診,臨床におけるがん画像診断能の向上を目指す2)高精度がん検診を実際に行い各種検査法による診断精度を明らかとする3)大腸がんに対する全大腸内視鏡検査による適切な検診間隔についての設定を行う4)病理画像,臨床画像のデーターベース化を行い画像診断に対する均てん化を進める5)コンピューター支援がん画像診断装置(CAD)の開発を進め普及させる
研究方法
1)250列マルチスライスCT,120マイクロメーターの解像度を有する拡大CTの開発を行い臨床撮影実験を行った2) PET,CT,内視鏡,US等を用いた高精度がん検診を3年間行った3)全大腸内視鏡検査を行い37011例のコホートを用いて適切な検査間隔の設定を行った4)典型例,稀な症例,教育的な症例に対し病理および臨床画像のデーターベース化を行った.患者およぎ患者家族に対する"癒し・憩"の画像データーベース化の構築を進めた5)肺がん,乳がんに対するCADの開発と臨床応用を進め臨床症例に対する読影実験を行った
結果と考察
1)256列マルチスライスCTの臨床応用により時間軸を考慮に入れた画像構成に成功した.人体用拡大CTでは肺の小結節に対する優れた診断能を有することが判明した2)高精度がん検診では5,296人中254人(4.8%)に何らかのがんが発見された 3)全大腸内視鏡検査に対するコホート研究では検診間隔は正常群では3-5年,腺腫を有する群では1年間隔での検診の必要性が示唆された4)病理,臨床画像データーベース構築に関しては縦隔,消化管,腹部実質臓器を中心とした画像の登録が進められた5) 肺がん,乳がんに対するCADの開発では実用化に向けてのデーター取得が行われた
結論
1) 256列CTによって時間軸方向の情報を有するCT診断が可能となった.拡大CTによって肺の小結節に対する質的診断能が飛躍的に向上した2)高精度のがん検診を行うことにより40才以上の男女で4.8%の割合で何らかのがんが発見された3)全大腸内視鏡検査では正常群では3-5年,腺腫を有する群では1-3年間隔での検診が適当と考えられた4)病理,臨床画像データーベース構築により画像診断に対する均てん化が得られる5) 肺がん,乳がんに対するCADの開発を行い臨床で使用可能なシステムの構築を行った

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200621012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)高精度のがん検診を行うことによって4.8%の割合で何らかのがんが発見されることが判明2)スリガラス状陰影を示す早期肺がんに対してはPET単独の検診では不十分,PET-CTが必要3)全大腸内視鏡による大腸がん検診間隔では初回正常群と,初回腺腫あり群とでは発がんオッズに差があり,正常群では3-5年, 腺腫あり群では1年間隔での検診が必要4)新しい仮想内視鏡ソフトウエアーの開発5)256例マルチスライスCTの開発と臨床応用
6)高精細CTの開発による肺結節性病変の診断能向上
臨床的観点からの成果
1)高精度のがん検診による高頻度のがん患者の存在の確認2)PET肺がん検診についてのPET-CTの必要性の証明3)全大腸内視鏡の適切な検診間隔の設定4)新しい仮想内視鏡表示による死角のない画像取得.被曝線量は注腸の1/3で検診への応用が可能5)256列CTにより時間軸情報を有する3次元動画,腹部パーフュージョン画像構築が可能6)高精細CTにより肺結節性病変の診断能が飛躍的に向上7)病理,臨床画像レファレンスデーターベースの構築による診断能の向上
ガイドライン等の開発
1)全大腸内視鏡検査による大腸がん検診の適切な検診間隔について初回検査時正常群では3-5年間隔,初回検査時に腺腫あり群では1年間隔での検診が必要2)256列マルチスライスCTによる腹部撮影に際して被曝線量低減のための撮影プログラムの確立3)乳がん発見に対するコンピューター支援診断装置の基本ソフトの確立と薬事申請に必要なデーター収集
その他行政的観点からの成果
1)症状のない40才以上の男女において4.8%に何らかのがんが存在することが判明,今後のがん検診の動行に対して行政的な検診のあり方についての重要なデーターとなる2)全大腸内視鏡検査による大腸がん検診の適切な検診間隔の設定を確立.今後の検診間隔をどのように行うかに影響を与える3)病理、臨床画像のレファレンスデーターベース構築によりがん画像診断に対する効率的な教育が可能となる4)コンピューター支援診断装置の普及を行うことによってがん診断における均てん化が実現する
その他のインパクト
1)がん検診に関する市民公開講座を18年度には3回行った2)高精度のがん検診によって症状のないものでも21人に1人の割合で何らかのがんが存在することについては,新聞,NHKをはじめとするテレビ番組,雑誌等で数回取り上げられている

発表件数

原著論文(和文)
9件
高分解能MRI検査を用いた直腸癌術前における骨盤内リンパ節転移診断、他
原著論文(英文等)
51件
Evaluation of Intraoperative Frozen Section Diagnosis of Sentinel Lymph Nodes in Breast Cancer、他
その他論文(和文)
39件
大腸癌術前診断におけるmulti-detector row CT colonographyの可能性、他
その他論文(英文等)
31件
Pheochromocytoma with posthemorrhagic cystic degeneration:magnetic resonance imaging findings、他
学会発表(国内学会)
100件
第65回日本医学放射線学会.2006年4月 ,第30回日本頭頚部癌学会.2006年6月,他
学会発表(国際学会等)
29件
第6回東北三省放射線医学学会(中国).2006年8月,他
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計5件
その他成果(特許の取得)
0件
X線コンピュータ断層撮影装置①②,X線CT装置(申請中),超音波プローブの軌跡表示装置及び超音波診断装置(申請中),管腔臓器の展開表示方法(申請中),
その他成果(施策への反映)
1件
胃がん検診のガイドブック
その他成果(普及・啓発活動)
3件
市民公開講座

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
R.Kakinuma,H.Ohmatsu,N.Moriyama,et al
Progression of Focal Pure Ground-Glass Opacity Detected by Low-Dose Helical Computed Tomography Screening for Lung Cancer.
J Comput Assist Tomogr , 28 (1) , 17-23  (2004)
原著論文2
S.Goshima,M.Kanematsu,N.Moriyama,et al
Malignant Hepatic Tumor Detection With Ferumoxide-Enhanced Magnetic Resonance Imaging:Is Chemical-Shift-Selective Fat Suppression Necessary for Fast Spin-Echo Sequence?
J.Magn. Reson. Imaging , 20 , 75-82  (2004)
原著論文3
S.Goshima,M.Kanematsu,N.Moriyama,et al
Early-Enhancing Nonneoplastic Lesions on Gadolinium-Enhanced Magnetic Resonance Imaging of the Liver Following Partial Hepatectomy.
J.Magn. Reson. Imaging , 20 , 66-74  (2004)
原著論文4
飯沼元、内山菜智子、森山紀之、他
大腸癌術前診断におけるmulti-detector row CT colonographyの可能性.
臨床放射線 , 49 (3) , 409-418  (2004)
原著論文5
飯沼元、内山菜智子、森山紀之、他
CT、MRI検査における大腸癌の術後再発診断と新たな診断技術.
早期大腸癌 , 8 (2) , 139-144  (2004)
原著論文6
柿沼龍太郎、大松広伸、森山紀之、他
肺癌CT検診での結節の診断基準.
臨床放射線 , 49 (3) , 369-376  (2004)
原著論文7
H.Saitho,M.Nakajima
Screening for colorectal cancer with immunological FOBT.
British Journal of Cancer , 90 , 1873-1874  (2004)
原著論文8
H.Sakurai, A.Maeshima, Y.Matsuno,et al
Grade of stromal invasion in small adenocarcinoma of the lung: Histopathological minimal invasion and prognosis.
Am. J. Surg. Pathol , 28 , 198-206  (2004)
原著論文9
仁木登
肺癌のヘリカルCT検診におけるCAD
臨床放射線 , 49 (3) , 395-402  (2004)
原著論文10
飯沼元、富松英人、森山紀之、他
消化管造影検査におけるFPD-DR.
カレントテラピー , 23 (2) , 17-21  (2005)
原著論文11
飯沼元、森山紀之
CTを用いた消化管の三次元診断.
消化器疾患最新の治療 , 24-27  (2005)
原著論文12
K.Mori, N.Niki, N. Moriyama,et al
Development of a Novel Computer-Aided Diagnosis System for Automatic Discrimination of Malignant From Benign Solitary Pulmonary Nodules on Thin-section Dynamic Computed Tomography
J Comput Assist Tomogr , 29 (2) , 215-222  (2005)
原著論文13
森山紀之、鈴木雅裕、小原和史、他
人体応用高分解能CT.
映像情報メディカル 臨時増刊号/マルチスライス2006 , 38 (7) , 79-84  (2006)
原著論文14
柿沼龍太郎、金子昌弘、森山紀之、他
マルチスライスCTを用いた肺結節のコンピュータ診断支援.
日本胸部臨床 , 65 (11) , 84-94  (2006)
原著論文15
M.Kanematsu, S.Osada, N.Moriyama,et al
Expression of vascular endothelial growth factor in hepatocellular carcinoma and the surrounding liver:correlation with MR imaging and angiographically assisted CT.
Abdom Imaging , 31 , 78-89  (2006)
原著論文16
C.Hamashima, T.Sobue, N.Moriyama,et al
Comparison of Observed and Expected Number of Detected Cancer in the Recerch Center for Cancer Prevention and Screeninf Program.
Jpn J Clin Oncol , 36 (5) , 301-308  (2006)
原著論文17
K.Hanai, T.Horiuchi, N.Moriyama,et al
Computer-simulation technique for low dose CT screening.
Journal of Computer Assisted Tomography , 30 (6) , 955-961  (2006)
原著論文18
H.Kondo, M.Kanematsu, N.Moriyama,et al
MDCT of the Pancreas: Optimiing Scanning Delay with a Bolus Tracking Technique for Pancreatic, Peripancreatic Vascular, and Hepatic Contrast Enhancement.
AJR , 187 , 25-32  (2007)
原著論文19
S.Yamamoto, M.Suzuki, N.Moriyama,et al
Technical Aspects of X-ray Micro-computed Tomography:Initial Experience of 27-μm Resolution Using Feldkamp Cone-beam Reconstrucion.
日本放射線技術学会 , 60 (2) , 257-260  (2007)
原著論文20
M.Kanematsu, S.Goshima, N.Moriyama,et al
Gadolinium-Enhanced Multiphasic 3D MRI of the Liver with Prospective Adaptive Navigator Correction: Phantom Study and Preliminary Clinical Evalution.
AJR , 188 , 309-316  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-09-18
更新日
-