文献情報
文献番号
200621011A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究
課題番号
H16-3次がん-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大島 明(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター)
研究分担者(所属機関)
- 中村正和(大阪府立健康科学センター)
- 大和 浩(産業医科大学産業生態科学研究所)
- 福田 敬(東京大学大学院薬学系研究科)
- 片野田耕太(国立がんセンターがん対策センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1998年以降がん死亡のトップの座を占めようになった肺がんとその他の喫煙関連がん・喫煙関連疾患の予防のための禁煙支援・禁煙治療の普及に向けて必要な制度構築のためのエビデンスを整理し、関係格学会・団体と連携して政策実現を図り、実現した政策が所期の目的を果しているかどうかをモニターし、今後の課題を検討することが本研究班の3年間の研究目的である。
研究方法
分担研究者ごとに以下の5つの分担研究を実施した。
1.喫煙者に禁煙を動機づける環境の整備に向けての制度化に関する研究
2.医療の場における効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究
3.職域における効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度に関する研究
4.禁煙治療の医療経済的評価禁煙治療の医療経済的評価
5.喫煙に起因する疾病・死亡負荷に対する禁煙の効果に関する疫学的評価
1.喫煙者に禁煙を動機づける環境の整備に向けての制度化に関する研究
2.医療の場における効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究
3.職域における効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度に関する研究
4.禁煙治療の医療経済的評価禁煙治療の医療経済的評価
5.喫煙に起因する疾病・死亡負荷に対する禁煙の効果に関する疫学的評価
結果と考察
日本におけるたばこ規制対策をTobacco Control Scaleに沿って評価した結果、日本のたばこ規制の取り組みの評価は極めて低いことが明らかとなった。分野別には、たばこ価格と職場や公共の場所の禁煙の得点が特に低かった。
2006年度から新設されたニコチン依存症管理料を算定医療機関における禁煙成功率の実態調査の速報のデータに基づき評価したところ、ニコチン依存症管理料による禁煙治療を受ける喫煙者は1年間に約145,000人と推定され、禁煙成功率は約40%と高い数値が得られた。今後、質を担保しつつ量的拡大を進めるべきだと考える。なお、将来的な発生の減少が期待される喫煙関連疾患の費用を考慮すると、禁煙指導は無指導に比べて、期待費用が削減し、期待アウトカムは増加する優位(dominant)となる結果が得られた。
これから喫煙対策に取り組むことを計画している事業場にむけてのスライドセットを含む手引き書を作成し、産業医科大学のホームページ上で公開した。
2006年度から新設されたニコチン依存症管理料を算定医療機関における禁煙成功率の実態調査の速報のデータに基づき評価したところ、ニコチン依存症管理料による禁煙治療を受ける喫煙者は1年間に約145,000人と推定され、禁煙成功率は約40%と高い数値が得られた。今後、質を担保しつつ量的拡大を進めるべきだと考える。なお、将来的な発生の減少が期待される喫煙関連疾患の費用を考慮すると、禁煙指導は無指導に比べて、期待費用が削減し、期待アウトカムは増加する優位(dominant)となる結果が得られた。
これから喫煙対策に取り組むことを計画している事業場にむけてのスライドセットを含む手引き書を作成し、産業医科大学のホームページ上で公開した。
結論
わが国の成人男性の喫煙率は減少しつつあるものの、まだ欧米先進国の約2倍の高さにとどまっている。禁煙治療の制度化に関しては2006年度からのニコチン依存症管理料の保険給付が実現した。今回の保険適用の措置が、所期の成果を挙げるよう禁煙治療の研修の仕組みを充実し、モニタリングを継続実施するとともに、さらに多くの喫煙者が禁煙支援にアクセスできるような仕組みの確立と充実を図る必要がある。また、喫煙者に禁煙を動機づけるための環境の整備として、たばこ価格・税の大幅引き上げと職場・公共の場所の禁煙の徹底は、緊急に実現を図るべき2つの課題である。
公開日・更新日
公開日
2007-04-05
更新日
-