難治性先天異常症の克服に向けた包括的遺伝子医療体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200620038A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性先天異常症の克服に向けた包括的遺伝子医療体制の確立に関する研究
課題番号
H18-子ども-プロ-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
倉辻 忠俊(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター特殊診療部遺伝子診療科)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所 成育保健政策科学研究室)
  • 衛藤 義勝(東京慈恵会医科大学 小児科学教室)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科 小児科)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部 基盤診療学系)
  • 島田 隆(日本医科大学 第2生化学教室)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部生殖発達医学講座 小児科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児難治性先天異常症の根治療法としての遺伝子治療の可能性を検討し、実施要件を明らかにすることを目的とする。特に慢性肉芽腫症とムコ多糖症を検討する。造血幹細胞移植等、従来の治療法と比較検討、ベクターの安全性、実施チームの構成、施設設備、薬事法、倫理、その他の難治性先天異常症への発展の可能性のある、多施設協同のチーム構築等、包括的な遺伝子診療体制を確立する。
研究方法
難治性先天異常症の造血幹細胞移植例を検討し、リスク・便益を検討する。世界の遺伝子治療の現状を調査し、その中で先天異常症の実績を検討する。ADA欠損症遺伝子治療例の効果を評価する。動物実験を含めベクターの安全性と効果の確認、遺伝子治療臨床研究の審査過程と適用基準、評価基準の設定、多施設協同の構築の検討と行い、総合的に遺伝子診療体制を検討する。
結果と考察
造血幹細胞移植は先天異常に対する根治療法に近いが、遺伝疾患故のドナーの得がたさと効果の点で問題がある。遺伝子治療は世界で1,000以上実施され、その8%が先天異常症である。慢性肉芽腫症では欧米で5例の遺伝子治療成功例が報告され、詳細に調査した。日本のADA欠損症例で、骨髄細胞への導入で長期効果がある。慢性肉芽腫症、ベクター、移植、遺伝子治療の専門家が連携し、GMPレベルの細胞処理室を使用、カルタヘナ第1種の適用で実施し、適用基準、臨床、生化学、遺伝子の評価項目を定めた。機関内倫理審査委員会を開催した。
結論
慢性肉芽腫症に対する包括的遺伝子診療体制の確立をした。ベクターの輸入、未承認薬の使用、インフォームドコンセント、適用基準、評価項目、多施設協同・連携体制の構築、遺伝子治療臨床研究審査への申請手続きを検討した結果、慢性肉芽腫症遺伝子治療は効果的で、安全性も確保でき、実施可能である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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