性差を加味した女性健康支援のための科学的根拠の構築と女性外来の確立

文献情報

文献番号
200620030A
報告書区分
総括
研究課題名
性差を加味した女性健康支援のための科学的根拠の構築と女性外来の確立
課題番号
H17-子ども-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
天野 恵子(千葉県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 光一(千葉大学・大学院薬学研究院)
  • 太田 壽城(国立長寿医療センター)
  • 名取 道也(国立成育医療センター)
  • 吉政 康直(国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
性差を加味した女性医療、健康支援のための科学的根拠の構築
研究方法
①千葉県からの予算補助を受け女性外来を開設している10病院における受診者、病院長、担当医師・看護師を対象とした外部評価調査を実施。
②性差を加味した女性健康支援のためのIT環境の構築を進め、12施設のデータを集約し、女性外来の実態ならびに問題点を解析した。SF-36,STAI,SRQDを用い、女性外来における医療効果を評価した。
③臨床の現場から、微小血管狭心症の実態、高齢者の内分泌・代謝、骨粗しょう症、物忘れ等における性差、小児における臨床検査値の性差開始年齢の同定、循環器危険因子の性差について調査・検討した。
④基礎研究としてPPARγアゴニストの薬物動態における性差をラットにて検討した。
結果と考察
①10医療施設の女性外来外部評価の結果、患者満足度は「満足」45%、「どちらかといえば満足」42%。女性外来受診理由は「性差医療の専門家に診てもらいたかった」が78%。受診者の73%がすでに同一主訴につき他の医療機関を受診している中で、「女性外来で問題が解決した」と78%が回答し、98%が「また受診したい」としている。
②平成18年度、21医療施設にデータファイリングシステムが導入された。平成19年1月に12施設より報告された791名の解析より、受診者は身体症状に加え、精神症状を訴えるものが多く(44%)、女性外来の需要が精神症状に苦痛をもつ女性たちの改善にあることが明らかになった。治療としては漢方薬の有効性が高い。SF-36,STAI,SRQDにより、受診者は日常役割感の低下を自覚しており、ことに精神疾患における受診者においてその傾向が強く、女性外来における治療効果もこの群で大きい。
③ならびに④においても貴重なデータが得られた。
結論
女性外来における問題解決度は高く、患者の満足度、再受診希望率も極めて高いことから、このような医療サービスが女性から求められていることが明白となった。また、女性外来における医療介入効果も極めて高いことが、SF-36,SRQD,STAIを用いての経過観察により明白となった。

公開日・更新日

公開日
2008-03-18
更新日
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