乳幼児突然死症候群(SIDS)における科学的根拠に基づいた病態解明および臨床対応と予防法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200620028A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児突然死症候群(SIDS)における科学的根拠に基づいた病態解明および臨床対応と予防法の開発に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
戸苅 創(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高嶋 幸男(国際医療福祉大学大学院)
  • 中山 雅弘(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 的場 梁次(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 市川 光太郎(北九州市立八幡病院救命救急センター)
  • 横田 俊平(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 北島 博之(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 中川 聡(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度厚生労働省研究班(主任研究者:坂上正道)にて作成された「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドライン」はSIDSなる疾患の概念およびその存在を医療関連施設等に訴えるものである。本研究事業においてはこのガイドラインの普及を目的としたパンフレットの作成、それに基づいた臨床現場での理想的な対応の構築、SIDSの病態解明および予防法の確立を目的として研究を行った。
研究方法
本年度の研究では日本SIDS学会の診断基準検討委員会とともに「解剖による乳幼児突然死症候群 (SIDS)診断の手引き」を完成した。これは主として、法医、病理医、さらには救急病院(部)で実際に乳幼児の突然死に遭遇する専門家を対象に作られたものである。これと、「乳幼児突然死症候群 (SIDS)に関するガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0418-1.html)と併せて参照することができるようなパンフレットを作成した。科学的根拠に基づいた病態解明ならびに予防法の確立に向けた研究として、睡眠中の呼吸循環生理学的検討、SIDS死亡例での神経病理を含めた病理組織学的検討、SIDSの病態解明および急性脳症、窒息との鑑別方法についての検討、PTT(Pulse transit time)を利用したモニタリングシステムの構築に関する検討を行った。
結果と考察
「SIDSに関するガイドライン」と「解剖による乳幼児突然死症候群 (SIDS)診断の手引き」中の「診断分類」(http://plaza.umin.ac.jp/sids/)をまとめ「SIDSの診断の手引き」を作成するとともに、乳幼児の突然死に遭遇した医師に対して、判り易い診断フローチャート図を作成した(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken06/index.html)。さらに裏面には、担当医が書き込めるチェックリストを添付した。SIDSの病態には覚醒反応の欠如などの中枢神経系異常、呼吸循環調節系の発達的異常が関与する可能性が示唆された。PTTによるモニタリングの可能性については引き続き検討が必要である。
結論
作成したパンフレットを全国医療機関に配布し、広く啓発していくことで、SIDSに関するガイドラインや診断基準の啓発普及し、本疾患に対する理解が得られるものと期待される。SIDSが正確に診断されることはSIDSの病態解明および予防法の確立を研究していくうえで非常に重要なことと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-