保健師・保育士による発達障害児への早期発見・対応システムの開発

文献情報

文献番号
200620022A
報告書区分
総括
研究課題名
保健師・保育士による発達障害児への早期発見・対応システムの開発
課題番号
H17-子ども-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高田 哲(神戸大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 宣子(神戸大学医学部)
  • 佐藤 眞子(甲南女子大学人間科学部)
  • 小寺澤 敬子(姫路市綜合福祉通園センター)
  • 石岡 由紀(神戸親和女子大学福祉臨床学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,225,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害をもつ子ども達とその家族への支援には、医師以外に多くの専門職の協力が必要である。早期対応においては、保育士、保健師の果たす役割がきわめて大きいが、保育士、保健師に対する教育、研修システムは十分とはいえない。本研究の目的は(1)保健所の健康診断やフォローアップ健診で用いる実践的なスクリーニング法、行動評価法の開発.(2)保健師、保育士への教育研修システムの開発.(3)保育所における障害児と周囲の子ども達への指導法の開発.の3点である。
研究方法
平成18年度は、地域自治体と連携したモデル支援事業の充実・発展をめざすとともに、 (1)兵庫県下において乳幼児健診に関わっている保健師の実態調査.(2)17年度に作成した行動観察用DVDマニュアル実用化に向けての検討.(3)発達支援教室に対する家族からの評価とインターネットを用いた運営法の標準化.(4)2-4歳児を対象に実施した多職種によるグループ行動観察の中間評価.を行った。さらに、通常学校に在籍し、学習上の問題を主訴として相談に訪れた児童・生徒を対象に、1歳6ヶ月、3歳児健診での通過率を求めた。
結果と考察
(1)保健師のほとんど(96%)が乳幼児健診で発達障害児と関わっていたが、その大部分は自閉症児であった。
(2)保健師は自分自身の発達障害についての知識に満足していなかった。また、多くの保健師は、障害発見後の家族との関係構築、具体的な支援方法について困難を感じていた。
(3)17年度に作成した行動観察用DVDマニュアルは修正を加えれば、臨床応用が可能であると考えられた。
(4)乳幼児健診で異常が指摘される発達障害の多くは自閉症で、LD、ADHDなどの障害を捉えることは困難であった。
(5)通常学級において特別な支援を要する子どもの67%は広汎性発達障害児、軽度精神遅滞及び境界知能であり、早期からの診断、支援プログラムによって教育への負担は軽減されると思われた。
(6)3歳時健診や保育園で気になる行動が指摘された児を対象とした多職種によるグループ行動観察は診断確定とともに家族の障害受容につながった。
(7)自閉症児をもつ家族は、同じ障害がある子どもの家族とのつながりを求めていた。

結論
(1)1歳6ヵ月、3歳児乳幼児健康診断では、精神遅滞、自閉症児を的確に発見し、家族が子どもの発達上の問題を受けいれることができるような支援・教育プログラムの準備に重点を置くべきと考えられた。
(2)発達支援モデル教室の運営を通じて、教室運営の標準的な方法を提案できた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-