文献情報
文献番号
200620012A
報告書区分
総括
研究課題名
引きこもりに繋がる小児慢性疲労、不登校の治療・予防に関する臨床的研究
課題番号
H16-子ども-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三池 輝久(熊本大学大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 藤枝 憲二(旭川医科大学小児科学)
- 沖 潤一(旭川厚生病院小児科)
- 福永 慶隆(日本医科大学小児科学)
- 本間 桂子(慶応義塾大学医学部中央臨床検査部)
- 玉井 浩(大阪医科大学小児科学)
- 渡辺 恭良(大阪市立大学大学院医学研究科)
- 倉恒 弘彦(関西福祉課学大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児慢性疲労症候群は、現代の光にあふれた生活環境や不安をあおられる過剰な情報の中での夜型
生活を背景とした慢性的睡眠欠乏状態に端を発する中枢神経疲労状態である。この疲労が完成するまでに、まず自律神経機能障害に始まる明確なプロセスが認められるため、メンタルヘルスケアシ
ステムを構築し疲労度を初期に評価することができれば予防が可能であると考えた。そこで私たち
が構築した熊本大学方式のメンタルヘルスケアシステムを用いた予防法の確立と、不幸にして発病した若者たちには早期診断法を通して新しい治療法を提供したいと考えその確立を目指した。
生活を背景とした慢性的睡眠欠乏状態に端を発する中枢神経疲労状態である。この疲労が完成するまでに、まず自律神経機能障害に始まる明確なプロセスが認められるため、メンタルヘルスケアシ
ステムを構築し疲労度を初期に評価することができれば予防が可能であると考えた。そこで私たち
が構築した熊本大学方式のメンタルヘルスケアシステムを用いた予防法の確立と、不幸にして発病した若者たちには早期診断法を通して新しい治療法を提供したいと考えその確立を目指した。
研究方法
病態確認に関しては、成長曲線を用いた心身発育の評価、尿中ホルモン分析、抗核抗体を中心とした自己抗体の存在、神経心理学的手法を用いた高次脳機能解析、アクチグラムを用いた日内活動量の推移、治療法開発に向けて、馬介在療法の有効性、高照度光治療の評価、自律神経機能低下解析と治療、予防についてはウェブサイトを用いて評価方式の発進をそれぞれ目指した。
結果と考察
本症は様々なストレスを背景に睡眠時間を削るほどの過剰な情報処理をせざるを得ない状態の脳が疲労困憊し生命維持機能が低下すると同時に高次脳機能の低下をきたしたものである。したがって治療には抵抗性であることはやむをえない。そこで予防に力を入れる必要性が大きい。治療に関しては、自律神経機能障害に対する血圧維持療法、睡眠障害と疲労との関連からの成長ホルモン有効性の示唆、高照度光治療の有効性の確認がなされ、有酸素運動としての馬介在療法などの選択肢が増えてきた。治療を円滑に進めるために病態の正確な把握が必要であるが、アクチグラムの成績、身長体重曲線研究結果、高次脳機能評価法、ホルモン解析、などは診断と共に治療成績の評価に有用である。今後最も力を入れるべきこととして、予防への取り組みと、社会への周知・広報活動が重要となるが、ウェブサイトを中心とした取り組みは厚労省や文科省の支援が必要であるが実効の期待がもてる。現代社会の生活様式理解に向けて全国的な広報活動が要求される。
結論
1.アクチグラム、身長体重曲線、ホルモン分泌、高次脳機能、自律神経機能の解析は診断と治療法効果判定に有用である。
2.成長ホルモン療法は現在では導入できないが有効である可能性が示唆された。
3.馬介在療法は治療法として取り入れる価値があると考えられた。
4.高照度光治療は本症における生体リズム是正の最も有効な方法として推奨出来る。
5.メンタルヘルスケアシステムを用いた予防への具体活動が開始され、予防できる可能性が高まった。
2.成長ホルモン療法は現在では導入できないが有効である可能性が示唆された。
3.馬介在療法は治療法として取り入れる価値があると考えられた。
4.高照度光治療は本症における生体リズム是正の最も有効な方法として推奨出来る。
5.メンタルヘルスケアシステムを用いた予防への具体活動が開始され、予防できる可能性が高まった。
公開日・更新日
公開日
2007-04-06
更新日
-