文献情報
文献番号
200620009A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究
課題番号
H16-子ども-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山口 清次(国立大学法人島根大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 重松 陽介(国立大学法人福井大学 医学部)
- 原田 正平(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新しい検査技術であるタンデムマスをわが国の新生児スクリーニングに導入した場合の社会的、臨床的効果、導入する場合必要な体制、現行マススクリーニングの効果と課題を中心に検討した。
研究方法
1)患者情報の集中管理体制を検討した。
2)対象疾患の診断支援体制を検討した。
3)新しい対象疾患の臨床経過を調査した。
4)ムコ多糖症の新生児スクリーニングの基礎的研究を行った。
5)タンデムマスの検査施設基準、費用対効果について検討した。
6)タンデムマスによるパイロットスタディーを全国5カ所で行った。
7)クレチン症とフェニルケトン尿症の長期予後、QOLについて検証した。
2)対象疾患の診断支援体制を検討した。
3)新しい対象疾患の臨床経過を調査した。
4)ムコ多糖症の新生児スクリーニングの基礎的研究を行った。
5)タンデムマスの検査施設基準、費用対効果について検討した。
6)タンデムマスによるパイロットスタディーを全国5カ所で行った。
7)クレチン症とフェニルケトン尿症の長期予後、QOLについて検証した。
結果と考察
1)患者登録体制:国立成育医療センターのサーバーに接続するシステムを作り、有機酸・脂肪酸代謝異常患者の登録を開始した。また小慢事業の対象疾患患者558名の臨床情報を解析した。これらは稀少疾患の治療向上に役立つ。
2)診断支援体制:HPLCを用いた酵素活性測定法と培養細胞とタンデムマスを用いた酵素診断法を確立した。GC/MSによる診断支援の有用性を確認した。
3)診療支援体制:CPT1欠損症患者9例の発症時期は9ヶ月-4歳、臨床所見は、ライ症候群、急性脳症、遊離カルニチン高値、家族歴の異常が多かった。
4)ムコ多糖症のスクリーニング:血液ろ紙とLC/MS/MSを用いるスクリーニング法を開発した。今後実用化に向けた検討が必要である。
5)検査施設基準と費用対効果:一つの施設で年間3万検体以上を検査する体制を作れば、現行のコストとほとんど変わらずタンデムマスを導入できる。増分費用便益比は1.91-2.73、1QALY獲得に必要な費用は181万-273万円と計算され、費用対効果は良好である。
6)パイロットスタディー:平成18年に5カ所で約10万検体以上を分析し9名の患者を発見した。早期介入によって全例が良好な経過をとっている。
7)現行スクリーニングの検証:クレチン症患者52名と高フェニルアラニン血症38名の長期的QOLを調査した。ほぼ全員の体格、知能は良好であった。6割以上が治療費の負担感を感じていた。
2)診断支援体制:HPLCを用いた酵素活性測定法と培養細胞とタンデムマスを用いた酵素診断法を確立した。GC/MSによる診断支援の有用性を確認した。
3)診療支援体制:CPT1欠損症患者9例の発症時期は9ヶ月-4歳、臨床所見は、ライ症候群、急性脳症、遊離カルニチン高値、家族歴の異常が多かった。
4)ムコ多糖症のスクリーニング:血液ろ紙とLC/MS/MSを用いるスクリーニング法を開発した。今後実用化に向けた検討が必要である。
5)検査施設基準と費用対効果:一つの施設で年間3万検体以上を検査する体制を作れば、現行のコストとほとんど変わらずタンデムマスを導入できる。増分費用便益比は1.91-2.73、1QALY獲得に必要な費用は181万-273万円と計算され、費用対効果は良好である。
6)パイロットスタディー:平成18年に5カ所で約10万検体以上を分析し9名の患者を発見した。早期介入によって全例が良好な経過をとっている。
7)現行スクリーニングの検証:クレチン症患者52名と高フェニルアラニン血症38名の長期的QOLを調査した。ほぼ全員の体格、知能は良好であった。6割以上が治療費の負担感を感じていた。
結論
わが国の新生児スクリーニング体制を立て直すために、現行スクリーニングの効果を検証して、新しい検査技術の導入を検討し、体制を立て直す時期である。本年度の目標は概ね達成できたと思われる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-06
更新日
-