虚弱高齢者の歩行維持の機能的評価システムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200619101A
報告書区分
総括
研究課題名
虚弱高齢者の歩行維持の機能的評価システムの開発に関する研究
課題番号
H18-長寿-若手-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山下 和彦(東京医療保健大学医療保健学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,370,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度の介護保険見直しにより介護予防が実施されることとなった.今後は介護保険非該当の身体機能が低下した高齢者への対応が急務である.そのような特定高齢者は,高齢者全体の5%をといわれているが,実際には約0.2%しか抽出できていないのが現状である.これはアンケートなどの主観評価や医学的見地からの評価基準のみではなく,転倒予防・生活支援の視点に立った身体機能の定量的評価指標の導入によらねば特定高齢者像は把握・評価が難しいことを示していると考えられる.
本研究は現行の身体機能評価に,定量的歩行機能評価を加えることを提案するものである.歩行機能は日常生活の維持に欠かせない機能であるだけではなく,歩行機能の減弱にともない認知症の割合や転倒骨折の増加,寝たきり高齢者の増加が報告されている.すなわち,現在の主観評価および医学的評価に,歩行や姿勢制御能から見た定量的評価を加えることで,対象者の活動度を明確に評価できるとともに,当該対象者に必要な介入内容を明らかにできると考えられる.
研究方法
本研究は2年間を計画し,以下の項目について明らかにする.
① 無線型足圧計測器の開発
② 開発器による歩行機能の定量的評価および評価指標の開発
③ 身体機能の様々な状況にある高齢者の転倒リスクからみた歩行機能の分類
④ 下肢筋力等の定量的評価値と歩行能の関係
⑤ 介入による歩行機能向上の定量的評価への応用
1年目である平成18年度は,①と②につき実施し,2年目のための準備を行った.
結果と考察
平成18年度は,上記目標①の関連項目として簡易型重心動揺計測器の試作,計測器で用いる圧力センサの特性評価,圧力計測精度の向上のためのキャリブレーション手法の開発,据え置き型重心動揺計との比較による計測精度検証,転倒リスク推定のための指標の検討を行った.更に②に関連した項目として,小規模フィールドテスト,転倒リスク抽出のためのデータ解析・考察等を行い,本計測器が有効に利用できることを確認した.
結論
本研究は高齢社会の緊迫した転倒予防に寄与できる技術課題の1つとして身体機能の定量的評価機器と評価指標の開発に着目し,研究を進めた.その中でも特にバランス機能の定量的評価に着目し,計測機器の試作,精度と有効性評価,高齢者と若年者の歩行能について言及した.その中から転倒リスクを評価できる項目について見当し,方向性を明らかにした.

公開日・更新日

公開日
2007-05-01
更新日
-