長寿科学の推進に係るグランドデザインに関する研究

文献情報

文献番号
200619100A
報告書区分
総括
研究課題名
長寿科学の推進に係るグランドデザインに関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-042
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
12,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本は世界でもっとも高齢者を多く抱える国となり、社会医療システムの構築に世界のパイオアニアとして切り開く役割が国際的に求められている。本年度は、その超高齢社会の医療システムや長寿医療のグランドデザインを検討するために (1)未来社会研究(持続可能な長寿社会研究)と、(2)未来医療研究(長寿社会における保健医療システムのあり方に関する基礎的研究)を行った。
研究方法
(1)未来社会研究:持続可能な長寿社会のあり方について論じた文献をレヴューし、論点を抽出して、KJ法によって問題のマッピングし、課題(経済、労働、科学技術、団塊問題など)ごとに専門研究者に分析を依頼し、既存文献や公的統計を用いて持続可能な長寿社会のあり方についての検討をした。さらにその結果を総合的に統合することにより持続可能な長寿社会のグランドデザインを模索した。(2)未来医療研究:患者調査を用いて将来の患者数の推計を行い、歴史的疫学手法によって新しい疾病概念を提唱し、それによって医療システム設計のための基礎概念を検討した。
結果と考察
今後50年間の間には、終身雇用制と定年制が崩壊し、これまで労働力として期待されていなかった高齢者、女性、外国人などの労働さらに非正規雇用も増えることが考えられる。これらに対応した社会保障のシステムを構築していく必要があると考えられる。個人のライフサイクルやライフスタイルも変化し、住所地で生産し消費する傾向が高まり、地域社会の重要性が増すと考えられる。政策的議論の中では地方分権と道州制が議論されており、日本全体もしくは世界全体としてグローバルなスタンダードを持つだけでなく、地域社会の個性を生かした社会づくりが重要になる。また一方で、地域ごとの格差への対応など新たな課題への対応も必要である。より経済的に豊かになることを目指すだけでなく、限られた資源で満足するための知恵、価値観の変容が重要となる。人類は長い進化の歴史の過程で人生がほぼ50年間で完結するよう身体的機能が調整され、近年ほぼ全人類が想定外の寿命を享受することとなった。
結論
今後50年の長寿社会においては、①ライフサイクルの変化 ②地域社会の重要性の変化 ③価値の変化が起こることが考えられ、疾病概念も「進化過誤」として捉えなおす必要がある。超高齢社会に必要な医療システムは患者中心の継続的ケアを可能とするものである。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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