脳梗塞急性期から開始する筋萎縮阻止薬療法が慢性期運動機能に与える影響に関する研究

文献情報

文献番号
200619098A
報告書区分
総括
研究課題名
脳梗塞急性期から開始する筋萎縮阻止薬療法が慢性期運動機能に与える影響に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
成冨 博章(国立循環器病センター内科脳血管部門)
研究分担者(所属機関)
  • 森脇 博(国立循環器病センター内科脳血管部門 )
  • 小田 忠文(協和会病院 リハビリテーション科)
  • 山本 康正(京都第二赤十字病院 脳神経内科)
  • 長田 乾(秋田県立脳血管研究センター 神経内科学研究部)
  • 横山 絵里子(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター)
  • 西村 裕之(西宮協立脳神経外科病院 神経内科)
  • 道免 和久(兵庫医科大学 リハビリテーション科)
  • 東 靖人(医療法人公仁会姫路中央病院 神経内科)
  • 寺山 靖夫(岩手医科大学 神経内科学講座)
  • 高橋 明(財団法人いわてリハビリテーションセンター)
  • 湯浅 浩之(公立陶生病院 神経内科)
  • 高木 誠(東京都済生会中央病院)
  • 大江 洋史(大阪大学大学院医学系研究科 神経内科)
  • 斎藤 こずえ(奈良県立医科大学 神経内科)
  • 棚橋 紀夫(埼玉医科大学内科学 神経内科部門)
  • 間嶋 満(埼玉医科大学 リハビリテーション医学教室)
  • 田中 耕太郎(富山大学附属病院 神経内科)
  • 井上 雄吉(富山県高志リハビリテーション病院 神経内科)
  • 目時 典文(弘前脳卒中センター 内科(脳卒中)・循環器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳梗塞によって比較的高度な運動麻痺を生じた例では、急性期から慢性期にかけて廃用性筋萎縮が生じ、これが慢性期における運動機能回復を大きく妨げている可能性が高い。廃用性筋萎縮の出現機序の詳細は未だ必ずしも明らかではないが、近年の実験的検討はフリーラジカルが重要な役割を演じることを示している。本研究では、ラジカル消去薬エダラボンを脳梗塞急性期に長期間投与した場合、廃用性筋萎縮阻止効果が得られるか否か、その結果慢性期の運動機能が改善するか否かを明らかにする目的で多施設共同無作為化比較対照試験を行う。
研究方法
参加施設は、急性期脳卒中診療施設13施設および回復期リハビリ施設6施設の計19施設である。発症後24時間以内に脳卒中診療施設に入院した下肢運動麻痺のある脳梗塞例を対象とする。インフォームドコンセントを得た後、インターネットを用いて中央登録し、対象を無作為に2群に振り分ける。一群ではエダラボン(一日量:30 mg x 2)を3日間投与(短期投与群:S群)、他の一群ではエダラボンを10-14日間投与(長期投与群:L 群)して、急性期(入院後4 日以内)、亜急性期(入院後14-21日)、慢性期(発症 3カ月後)の麻痺側下肢の筋容量をCTおよび下肢周径計測により評価する。二群間において (1) 急性期の廃用性筋萎縮の程度に差が見られるか否か、(2) 慢性期における筋萎縮の程度に差がみられるか否か、(3) 慢性期運動機能(Barthel Index、 modified Rankin Scale、Brunnstrom Recovery Stage、 Maximum Walking Speed)に差が認められるか否かを検討する。
結果と考察
研究初年度であり、研究計画が主任研究者施設の倫理委員会を通過した後に各分担研究者施設の倫理委員会の審議を受けるという段階的な手順が必要であった。このため、現時点での登録症例数は未だ10例足らずであり、エダラボンの効果を評価することは困難である。しかし、1例ではあるがエダラボン長期投与群では著明な運動麻痺の改善を示した例があり、ラジカル消去薬の筋萎縮阻止効果がうかがわれた。現時点までにエダラボン投与により有害事象がみられた例はない。
結論
エダラボンが廃用性筋萎縮阻止効果を示すか否か、2年度の症例蓄積を待つ必要がある。 

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-