骨粗鬆症性骨折の実態調査および全国的診療データベース構築の研究

文献情報

文献番号
200619093A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症性骨折の実態調査および全国的診療データベース構築の研究
課題番号
H18-長寿-一般-035
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
折茂 肇(健康科学大学)
研究分担者(所属機関)
  • 福永仁夫(川崎医科大学放射線医学)
  • 中村利孝(産業医科大学整形外科)
  • 白木正孝(成人病診療研究所)
  • 太田博明(東京女子医科大学産婦人科)
  • 大橋靖雄(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学)
  • 細井孝之(国立長寿医療センター先端医療部)
  • 藤原佐枝子(放射線影響研究所臨床研究部内科、疫学)
  • 坂田清美(岩手医科大学公衆衛生学)
  • 原田敦(国立長寿医療センター機能回復診療部)
  • 堀内敏行(東京都老人医療センター内分泌科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症の診療に関する全国的データベースを構築し、診断と骨折の関連性や治療の影響を検証し、再評価する。平成18年度においては医師別ならびに医療機関別に骨粗鬆症診療の実態を調査する。
研究方法
①骨粗鬆症診療に関する医療機関別の調査:既存の統計調査の結果を用いて検討・考察した。
②骨粗鬆症の診断と治療に関する医師別調査:全国の病院勤務、開業医師のうち整形、内科、婦人科を標榜する医師、のべ50000人を対象とし、病院/開業医比率および標榜科比率に応じてランダムにアンケート先を抽出し発送した。アンケートでは、骨粗鬆症診療実施の有無、診察している患者数、診断基準を把握しているか否か、診断方法、薬物療法開始の目安、ケース別の第一選択薬などをたずねた。
結果と考察
①骨粗鬆症診療に関する医療機関別の調査:既存の統計資料のうち、「患者調査」と「国民生活基礎調査」を二次利用することによって、骨粗鬆症診療のさらなる現状分析と将来予想を試み、「骨粗鬆症で医療機関を受診している」合計患者数は145.1万人と算出された。
②骨粗鬆症の診断と治療に関する医師別調査:調査対象の医師母数は病院が57%、診療所が43%である。診療科別の比率は一般内科56%、一般外科26%、整形外科15%、産婦人科8%であった。アンケートの総回収率は12%であった。骨粗鬆症の診療を行っているか否かの質問に対しては、全体で73%、整形外科では95%以上が骨粗鬆症診療を行っていると回答した。全体で約40%の医師が毎日骨粗鬆症診療をしていた。日本骨代謝学会で定められた「原発性骨粗鬆症の診断基準2000年版」の認知率は全体では61%、整形外科においては90%以上であった。薬物療法開始の目安としては、骨密度の低値、既存骨折、診断基準の合致、ステロイド使用歴、骨代謝マーカーの順に情報が利用されており、この傾向には診療科による大きな差異は認められなかった。第一選択とする薬物については、65歳未満で既存骨折がない場合は活性型ビタミンD3製剤が多く、骨折の既往がある場合にはビスフォスフォネート製剤の第一選択率が上昇していた。65歳以上という年齢によるリスクの上昇もビスフォスフォネート製剤が第一選択となる要因となっていた。
結論
医師別ならびに医療機関別に骨粗鬆症診療の実態を調査し、骨粗鬆症診療に関する全国的データベース構築の基礎を築いた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-10
更新日
-