認知症に対する非薬物療法の有効性に関する研究

文献情報

文献番号
200619082A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症に対する非薬物療法の有効性に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-024
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
服部 英幸(国立長寿医療センター 機能回復診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 久幸(国立長寿医療センター 外来診療部)
  • 長屋 政博(国立長寿医療センター 機能回復診療部 )
  • 小長谷陽子(認知症介護研究・研修大府センター)
  • 水野 裕(一宮市立市民病院今伊勢分院)
  • 吉山顕次(国立長寿医療センター 機能回復診療部)
  • 谷向 知(筑波大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
認知症の非薬物的アプローチは評価が困難であるため効果が疑問視されることが多く効果の客観的数値化、無作為比較試験など厳密にデザインされた研究によるエビデンスの検証はほとんどなされていない。本研究においては非薬物療法の有効性のエビデンスを検証する。
研究方法
可能な限り無作為割付比較試験(RCT)を採用するが、困難な場合でも対照群をとった前向き研究でおこなう。検証するアウトカムとして認知機能の改善、患者本人のADLおよびQOL、家族の介護負担度を評価する。また脳機能の変化の有無を検証する目的で脳血流シンチ、脳磁図などをもちいた放射線学的研究をおこない客観的な効果判定を行なう。その結果からどの病型の認知症にどの方法が有効かを明らかにする。
結果と考察
小長谷は個人回想法の有効性を対照群との比較で検討した.バウムテストで改善傾向が認められた.三浦は軽症アルツハイマー型認知症高齢者を対象に、RCTを用いて受動的音楽療法を行い効果を検討した。現在、症例登録中である。長屋はレクレーション療法群の対象者として、特別養護老人ホーム入所者を介入群と対照群として評価を行った。報告段階では2群間で有意な差を認めなかった。吉山は非薬物療法の効果の判定として、脳磁図計を用いて、Mismatch field(MMF)を測定することを検討した。報告段階で非薬物療法の効果判定を行うことは出来なかった。水野は知的刺激(読み・書き・計算)の研究を行った。外来患者を受診した期間により、2群に割り付け、学習介入と手作業の介入とを同様の条件で行い比較するRCTである。現在、学習介入群のエントリーが終了し、手作業介入群はエントリー途中である。谷向は介護用ロボットが認知症高齢者の不安などBPSDに有用であるかを検討した。Behave ADを用いた評価では、総評点と問題行動の下位項目評点は入院前に比べ、入院直後と退院時には減少していた。服部はアルツハイマー病症例に絵画療法を週1回、12週間施行し、対照群として計算トレーニングとの無作為割付比較試験において認知症に対する有効性を検証することを目的とした。現段階ではMMSE、HDS-Rで評価した認知機能に改善傾向が見られた。

結論
認知症の非薬物療法の効果をできるだけ厳密な研究デザインに基づいて検証する研究を行っており、現段階では多数例の検討はできないものの、症例の集積は順調にすすんでいる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
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