若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
200619080A
報告書区分
総括
研究課題名
若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田邉 敬貴(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 宮永 和夫(群馬県こころの健康センター)
  • 中村 祐輔(東京大学医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症について、Ⅰ疫学的な実態、Ⅱ当事者と家族が抱える問題を明らかにする。さらにⅢ日本人の若年性認知症患者の遺伝子バンクを構築する。
研究方法
 若年性認知症の有病率に関する悉皆調査を茨城で2段階で行う。1次は現在65歳未満の認知症患者の有無を問い、2次では該当有りとした機関により詳細な情報を求める。3大学病院専門外来における調査から、若年性認知症の基礎疾患の割合を明らかにする。当事者と家族が抱える問題に関して、受診、退職、年金・生命保険・住宅ローンなどの実態を検討する。
結果と考察
 人口300万人の茨城県における調査において、90%の回答を得た時点で単純に若年性認知症患者の総数を算出すると約800名であった。3大学病院専門外来における調査から、若年性認知症の基礎疾患として、最多はADで50%以上、次いでFTLD10%前後、さらにVDという順になると思われる。当事者と家族が抱える問題に関して。診療面では総合病院の精神科、神経内科、脳外科などが大きな役割を果たしている。退職については、概ね適切になされているという結果を得た。年金・生命保険・住宅ローンなどの経済的支援についての説明が十分になされていない。生命保険の高度障害認定については、一部の例外を除いて多くの当事者・家族もその存在を知らない。
 確立したADの危険因子であるアポリポ蛋白E4遺伝子アレルを検討した結果、若年性認知症患者ではこのE4頻度がさほど高くない。
結論
 茨城県における調査推察するとわが国で3万人以上という結果が予想される。基礎疾患としてアルツハイマー病など変性性の認知症の他には、脳血管性認知症と頭部外傷などによる高次脳機能障害が多いと思われる。若年性認知症の基礎疾患として従来は注目されていなかったFTLDとDLBという変性疾患の患者数がかなり多い。
 若年性の患者は、特定の専門的機関で集中的に診療されていると思われる。また若年の認知症を診断できるは不足しているという指摘が各方面からなされている。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-