介護予防の効果評価とその実効性を高めるための地域包括ケアシステムの在り方に関する実証研究

文献情報

文献番号
200619077A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防の効果評価とその実効性を高めるための地域包括ケアシステムの在り方に関する実証研究
課題番号
H18-長寿-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 信友 浩一(九州大学大学院)
  • 備酒 伸彦(神戸学院大学)
  • 山本 大誠(神戸学院大学)
  • 金子 能宏(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1.制度改正前後におけるケアマネジメント等の変化の把握と介護予防効果の検証(全国)、2.包括的パネル・データ(生活機能、健診、医療・介護費等)を用いた介護予防の多面的効果の検証(モデル地区)、3.より効果的な介護予防サービスの検証(バランストレーニング等)、4.介護予防の実効性を高めるためのケアマネジメントの在り方の検証 を通じて、平成21年度の介護予防見直しの議論に資する総合的なデータ提供と、介護予防及び地域包括ケアシステムの在り方に関する政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
1.全国認定・給付データをもとに、高齢者の自然歴の地域差を分析。2.モデル地区の包括的パネルデータ(認定・給付、医療・介護費、健診、介護予防等)をもとに、高齢者の生活機能や疾病構造などの実態を解明。3.ケアプランの個別事例の検討をもとに、現在のケアマネジメントの課題を分析。4.運動機能測定を通じて、高齢者の歩行パターンや転倒リスク要因を解明。5.住民を巻き込んだ多職種協働のモデル試行を通じて、最適な意思決定プロセスの在り方を検証。6.兵庫県但馬地区やカナダオンタリオ州などの地域ケアの先行事例を検証し、今後の制度改正への示唆を検討。
結果と考察
1.要支援段階から様々な生活機能、特に歩行・移動、うつ・意欲に関連した機能や活動が低下していること。2.要介護認定率・進展率とも、重度者より軽度者において地域差が大きいこと。3.加齢に伴う運動機能は、バランス能力において著しい低下を来すこと。4.利用者は、(1)セルフケア継続可能な者 (2)自身の健康維持・向上のための行動を起こす事が簡単でない者 (3)複数の疾病や進行性の難病を抱えている者 の3グループに大別されること。5.住民を含めた多職種協働により、"してもらう、してあげる"という発想から“"この地に何があり何がないのか"を協働して考えるように変化すること。6.リハ専門職の介入により、ADL自立度の改善が図られる可能性が高いこと 等がわかった。
結論
「実効ある介護予防」を実現するためには、1.高齢者の生活機能や健康状態などに関する知識の習得と実践への活用(アセスメント等)、2.目標を共有化した「機能する多職種協働チーム」の編成、3.多職種協働チームを構成する各専門職の専門技術の開発及び展開、4.利用者や家族の多職種協働チームへの積極的参加、5.多職種協働チームを動かす(機能させる)マネジメント技術の実践などがシステムとして機能することが求められている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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