予防版MDS-HCによる介護予防マネジメントの一体的な実施に関する研究

文献情報

文献番号
200619074A
報告書区分
総括
研究課題名
予防版MDS-HCによる介護予防マネジメントの一体的な実施に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 ゆかり(国立大学法人東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 池上 直己(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「予防版MDS-HC」を新予防給付および地域支援事業における介護予防ケアマネジメントに適用し、その効果と介護予防のための標準化された手法として活用できるかを検討すること
研究方法
北海道札幌市の訪問型介護予防事業、および新潟県胎内市の地域包括支援センターにおける介護予防ケアマネジメントに対し「予防版MDS-HC」を適用し、その効果を検証した。主な評価項目として、担当者の介護予防ケアマネジメントに対する自信、支援計画表の質、高齢者の予防行動とした。対照地域を静岡県浜松市の地域包括支援センターとした。
結果と考察
1)介護予防ケアマネジメントに対する担当者の自信の向上
札幌市と胎内市において、予防版MDS-HCの活用前後での担当者の「対象者・家族との信頼関係の構築への自信」「対象者のニーズ把握への自信」「予防版MDS-HCの内容把握」の向上がみられ、予防版MDS-HCを活用することで「高齢者のニーズを適切に把握し、信頼関係に基づいて支援を行える」という担当者の自信につながった可能性が示された。
2)プランの質の向上
胎内市と浜松市の支援計画表の内容をCAPに基づいて分析したところ、予防版MDS-HCを用いた胎内市の支援計画表にはニーズの領域が幅広く、内容がパターン化されていない支援計画表の割合が高かった。以上より、予防版MDS-HCを用いることにより、個別具体的で質の高いプランを作成できることが示された。
3)高齢者の予防行動の促進
高齢者の属性や身体・心理社会的状況により調整を行ったうえで、高齢者アウトカムを3地域間で比較したところ、札幌市と胎内市では、浜松市と比較して「自分でできることはできるだけ自分でしようと心がけている」「毎日に栄養バランスに気を使っている」と回答した高齢者が多かった。この結果から、高齢者自身の予防行動が促進された可能性が示唆された。

結論
予防版MDS-HCを用いることにより、担当者が介護予防ニーズを把握することに自信をもつことができ、作成するプランの内容が充実した。高齢者の予防行動の促進もみられ、将来の要介護状態を予防する可能性が示唆された。したがって、予防版MDS-HCは、特定高齢者への訪問型介護予防事業、および地域包括支援センターにおける特定・要支援高齢者への介護予防ケアマネジメントにおいて一体的に活用できる有用なツールであるといえる。

公開日・更新日

公開日
2007-03-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619074C

成果

専門的・学術的観点からの成果
予防版MDS-HCを介護予防施策に用いたことにより高齢者の予防行動が促進され、将来の要介護状態への移行を予防する効果を期待できること
臨床的観点からの成果
制度改正の過渡期にある現在、介護予防に携わる者に対し体系的な介護予防の方法論を提示し、自信を与えたこと
ガイドライン等の開発
特定高齢者事業および介護予防ケアマネジメントに予防版MDS-HCを用いる具体的な方法を記載した「介護予防のための予防版MDS-HCの出版」(医学書院)を2007年5月出版予定
その他行政的観点からの成果
新潟県胎内市における予防ケアマネジメントにおいて、予防版MDS-HCが普及したこと
その他のインパクト
鹿児島県主任介護支援専門員研修において、本研究で開発・検証した予防版MDS-HCの予防ケアマネジメントへの活用方法を1日研修した

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-