文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200619069A
報告書区分
総括
研究課題名
文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和之(国立身体障害者リハビリテーションセンター更生訓練所)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 和幸(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 清田 公保(熊本電波工業高等専門学校情報通信工学科)
  • 江崎 修央(鳥羽商船高等専門学校制御情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得を目指す理療教育課程での学習において、点字や普通文字、パソコンでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層の中途視覚障害者の学習支援システムの構築を目的とした。そして、その達成のために複数の文字入力システムの開発と、学習時における実践的な技術評価を行い、中途視覚障害者の学習方略獲得を支援するシステムの普及のための指針を得ることとした。
研究方法
 今年度は、①理療教育課程における中途視覚障害者の学習手段と学習方法に関する実態調査並びに、②複数の文字入力システムの開発を行った。①は2001年度からの継続調査であり、対象者226名に対し自記式質問紙調査と補完する半構造化面接から得たデータの分析を行うこととし、②は①から得た結果から任意に対象者を抽出し、7名に対して、点字タイプライター方式の試作機の仕様を決定するための面接調査とディスカッションを、8名に対して、オンライン手書き入力方式をタブレットPCに実装しての文字入力実験を行った。
結果と考察
 ①理療教育課程に学ぶ中途視覚障害者には、授業時に録音機器を多用し「書かずに聞く(聴く)学習」を模索する中・高齢層のケースが多いが、PCなど新しい機器の導入は遅れる傾向が見られた。授業の進度に対するノート・テイキングや機器操作の対応の困難さ、また、座学だけでなく、模型観察(解剖学)、各種実技、臨床実習など、科目ごとの教室移動に伴う個々人の携行可能な学習手段の選択が要因と考えられた。②複数の文字入力システムの開発のうち、点字タイプライター方式について、軽量、小型、簡便な操作で編集作業が可能となるニーズが集約され仕様を決定した。③オンライン手書き文字入力方式について、文字認識率の精度と文字入力速度が操作の習熟度に依存することが明確化された。また、手書きによる直接入力は文字の記憶維持に効果が期待されるとの対象者からの評価を得た。
結論
 2001年度から継続している実態調査と、複数の文字入力システムの試行及び仕様決定のための研究の結果、主に授業時に理療教育課程在籍者の学習における読み書きの不自由さを軽減し、入所早期に適切な学習方略を構築するために、学習支援システムの必要性が確認された。次年度は、各文字入力システムのプロトタイプを製作して試用評価を得るとともに、学習支援システムの基本設計の体系化を図る。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-