「理由書」標準様式を活用した住宅改修評価システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200619068A
報告書区分
総括
研究課題名
「理由書」標準様式を活用した住宅改修評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 晃(国立保健医療科学院建築衛生部 健康住宅室)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 善郎(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 上村 智子(信州大学 医学部保健学科)
  • 糟谷 佐紀(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
  • 蓑輪 裕子(聖徳大学短期大学部 総合文化学科)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、「住宅改修が必要な理由書」(以下「理由書」)の標準様式を活用した住宅改修の評価システムを検討し、住宅改修サービスの質を高めることを目的としている。このため、①「理由書」活用の前提条件を確認した上で、②介護支援専門員、及び③保険者による「理由書」を活用した評価の可能性を検証し、さらに④住宅改修に関連する専門職や組織による評価実施の可能性を検討することを課題とした。
研究方法
①兵庫県と東京都において標準様式採用率等の現況調査、及び保険者による事前審査の先行事例調査を実施するとともに、研究班において評価シミュレーションを実施した。 ②佐倉市において、事後評価を視野に入れた様式改訂と介護支援専門員による事後評価の事例検討会を試行した。 ③佐倉市と長野市において標準様式を用いた事前審査の実態を把握し、事前評価の方法を検討した。 ④住宅改修の技術評価を担える可能性を検討するために、住宅改造アドバイザー制度、住宅改修支援NPO、地域包括支援センターの実態調査を実施した。
結果と考察
①兵庫県、東京都では8割近くの保険者が標準様式を採用していた。事前審査で全数訪問している事例では住宅改修の質に影響を与えていることが示唆され、標準様式での評価シミュレーションでも評価実施の可能性が示された。 ②標準様式の小規模な改定によって、介護支援専門員の事後評価の実施は容易になされたが、評価結果の客観性に関する課題が示唆された。 ③佐倉市、長野市の事前申請への対処は従来の方法の相違が反映されていたが、共通して専門職のバックアップもあって、自立支援としての妥当性と改修方法の安全性についての再確認が行われていた。 ④既存の制度や組織はいずれも、個別住宅改修事例に接触する立場として、条件整備の工夫が必要であった。
結論
これまで、目的が不明確なまま改修がなされたために困難であった評価は、「理由書」標準様式の活用によって実施される可能性は高い。改修目的の妥当性の確認については、保険者の事前評価がきわめて重要な意味をもっており、標準様式の事前確認でも評価がおよそ可能である。改修目的の達成度については、標準様式の小規模な改定で介護支援専門員による評価は可能と考えられるが、自己評価の場合には客観性についての課題が残される。改修の技術評価については、評価主体となりえる専門職をどこに求められるかが検討課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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