生活機能向上にむけた介護予防サービスのあり方及び技術に関する研究-「廃用症候群(生活不活発病)モデル」を中心に

文献情報

文献番号
200619053A
報告書区分
総括
研究課題名
生活機能向上にむけた介護予防サービスのあり方及び技術に関する研究-「廃用症候群(生活不活発病)モデル」を中心に
課題番号
H17-長寿-一般-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会)
  • 大橋 謙策(日本社会事業大学)
  • 木村 隆次(日本介護支援専門員協会)
  • 半田 一登(九州労災病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 生活機能向上にむけた介護予防のプログラムと具体的技術の確立のために、介護予防の主なターゲットである「廃用症候群(生活不活発病)モデル」に重点をおき、「水際作戦」(生活機能低下の早期発見・早期対応)の具体的内容を明確にする。
研究方法
○生活機能向上にむけた介護予防を実施する自治体での介入前の生活機能の実態把握:75歳以上悉皆調査:2,871名中2,051名(回収率79.5%)
○医療機関での水際作戦の必要性検討のための、受診患者の生活機能の実態把握:5病院外来患者(65歳以上N=1,813)
○介護予防の水際作戦としての「生活機能相談窓口」の効果の立証(N=285)
○災害時の介護予防として平成18年豪雪による生活機能低下の実態把握(N=3,746)
結果と考察
○在宅生活非要介護認定者における活動・参加レベルの低下率は高い。
○外来患者中生活機能低下者が非要介護認定者で36.7%で、このうち脳卒中タイプは6.1%、脳卒中→廃用症候群タイプ20.7%、廃用症候群タイプ72.6%であった。また最近1年間の低下者は全体の12.8%であり、このうち発症・受傷・入院等のエピソードのある患者は28.6%のみであった。なお脳外科・リハ科等の脳卒中タイプを主な対象とする診療科では低下率が高く、それら以外の科の間では大きな差は認められなかった。
○平成18年豪雪で歩行困難が出現した人が、非要介護認定者中前期高齢者で10.1%、後期26.6%で、10月-11月初旬(雪の前)までに回復していない人が全体の4.6%、12.0%と、低下者の約4.5割が非回復であった。要介護認定者では更に低下者、非回復者が多かった。なお病気の悪化やケガのあった人は全体の5-8%程度であった。
○生活機能相談窓口での活動向上訓練中心のプログラムにより60.7%で活動自立度の1段階以上向上が達成された。効果は短期間で出現し、1回-3回での活動の自立度もしくは質的向上達成が、向上者の90.2%に達した。
結論
○一般医療においても介護予防の観点から生活機能低下予防、特に廃用症候群をターゲットと位置づけた積極的な関与が必要である。
○地震・豪雪などの災害では環境変化を契機として廃用症候群を生じやすく、「水際作戦」必要例の大規模な同時多発状態として位置づけた災害時の介護予防プログラムが重要である。
○水際作戦として生活機能相談窓口での活動向上訓練中心のプログラムが非常に有効である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-20
更新日
-