地域における福祉製品の研究開発体制の整備に関する研究

文献情報

文献番号
200619044A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における福祉製品の研究開発体制の整備に関する研究
課題番号
H17-長寿-一般-034
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
都築 暢之(富山県高志リハビリテーション病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 淳一(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 野村 忠雄(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 井上 雄吉(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 木村 友厚(富山大学医学部整形外科)
  • 椎葉 茂樹(富山県厚生部)
  • 竹内 敬人(富山県厚生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は1.福祉製品研究開発体制の行政的整備究と,2.Leading Project 「空気式補装具の開発」の2部より構成される.
 平成18年度の目標は,研究1においては前年度の福祉機器研究委員会の活動成果の検証・評価と,新たな活動の展開,および研究開発支援体制完成のため産・学・官・民による富山県福祉機器開発推進委員会の発足である.研究2においては上肢装具に対する新たな機能(手関節背屈および前腕回内・外)の付加,体幹装具の脊柱後側弯における効果,下肢装具では矯正抵抗性内反膝に対する矯正器の開発とその効果の実証である.
研究方法
 研究1では,前年度実績(賛助会員数,製品モニター数,展示応募数など)を評価し,新たな試みとして利用者・製作者交流会(利用者のニーズと製作者シーズのマッチングを図る)の創設と富山県福祉機器開発推進委員会の立ち上げを行なった.
 研究2では,上肢装具における関節屈曲機能は空気チューブ横径拡大による紐牽引効果の利用,前腕回旋機能は空気チューブ直線化効果を利用し,臨床例での有用性を検討した.体幹装具では脊柱後側弯症例での試用,下肢装具では木枠型膝変形矯正器具の効果を検討した.
結果と考察
 研究1では,平成18年度のモニター事業の実績は4社5製品1試作品であった(前年度実績:4社5製品3試作品).モニター結果に基づく製品改良と,委員会・企業共同企画による商品化が1件進行中である.アイデアコンクールへの応募は,企業,福祉現場,一般県民など幅広い層に亘り,県全体において福祉機器に対する関心が高まっていることが示された.
 研究2では,何れも少数例における試用結果であるが,上肢装具では新開発の手関節背屈機能および前腕回旋機能が片麻痺廃用上肢において有効に機能すること,体幹装具では脊柱後側弯において脊柱運動性を保持したまま動作時背部痛の軽減に役立つこと(1例試用),下肢装具では膝変形矯正器が空気チューブ複合体による矯正抵抗例に有用であることが確認された(1例使用).

結論
 研究1では,福祉機器研究委員会が中核となった研究開発指導方式は効果的で,2年目の成績は順調な成長を示し,企業側の意欲向上も顕著であった.モニタリング事業が現場と企業を結びつけるのに最も効果的であった.利用者・製作者交流会の結果から今後の福祉機器開発の問題点が明らかにされた.
 研究2では,対象とした3病態(片麻痺廃用上肢,高齢者脊柱後弯,加齢性内反膝)に対する原型モデルの有効性が確認され,一般的使用への基礎的データが得られた.

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-11-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200619044B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における福祉製品の研究開発体制の整備に関する研究
課題番号
H17-長寿-一般-034
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
都築 暢之(富山県高志リハビリテーション病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 淳一(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 野村 忠雄(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 井上 雄吉(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 木村 友厚(富山大学医学部整形外科)
  • 椎葉 繁樹(富山県厚生部)
  • 小林 明人(富山県厚生部)
  • 竹内 敬人(富山県厚生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は1.富山県における福祉製品研究開発体制の行政的整備法の研究と,2.Leading Project として富山県高志リハビリテーション病院による「空気式補装具の開発」の2部より構成された.
 研究1の目的は富山県における福祉製品産業の振興であり,研究2の目的は,具体的な装具の開発を通じて富山県における研究機関連携体制の樹立を図ること,および富山県独自の製品を開発することである.研究2における対象は片麻痺廃用上肢,高齢者脊柱後弯,高齢者内反膝(O脚)の3病態とし,身体的負担の少ない身体装具の開発を目指した.装具は,基本的には軽・軟であって,必要時のみ必要な部分が剛性を持ち,且つ装具剛性の自己制御が可能なものを目標とした
研究方法
 研究1では,富山県福祉機器研究委員会を行政中核として設置し,県内福祉機器製作者を同委員会賛助会員として集結し,専門家による製品評価ならびに県内関係施設におけるモニターの機会を提供した.啓発講演,アイデアコンクール・展示会開催,研究機関の紹介,利用者・製作者交流会開催なども行なった.また,産・学・官・民連携による総合的支援体制として富山県福祉機器開発推進会議を設立した.
 研究2では,装具の基本的素材は空気チューブと軟薄プラスチック板の複合体とし,充気は血圧計用ゴム球を用いた.
結果と考察
 研究1では,2年間のモニター事業の実績は8社10製品4試作品であった.モニター結果による製品改良と,委員会・企業共同企画による商品試作が1件進行中である.アイデアコンクール・展示会への応募は,企業,福祉現場,一般県民などからあり,県全体における関心の高まりが見られた.利用者・製作者交流会と富山県福祉機器開発推進委員会が設立され,福祉機器産業振興体制は充実したものとなった.
 研究2においては3病態に対する原型モデルが完成し,少数の臨床例使用でその有効性が確認され,同時に一般実用化に向けての問題点が明らかとなった.

結論
 研究1では,福祉機器研究委員会を中核とする研究開発指導・振興方式は効果的であった.モニタリング事業が現場と企業を結びつけるのに最も効果的で,企業側の意欲向上に役立った.利用者・製作者交流会の結果から今後の福祉機器開発の問題点が明らかにされた.
 研究2では,対象とした3病態(片麻痺廃用上肢,高齢者脊柱後弯,加齢性内反膝)に対する原型モデルが成した.何れも,治療のならず予防にも使用可能なものである.

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619044C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 空気チューブと軟・薄プラスチック板の併用(空気チューブ・プラスチック板複合体)は,身体的負担の少ない身体装具の素材として有用であった.また,血圧計用ゴム球による充気で,空気チューブ・プラスチック板複合体が身体支持可能な剛性を持つことが示された.空気式装具の使用は,片麻痺においては運動野の可塑性の誘導,体幹・下肢においては荷重という関節変形要素を軽減する効果(免荷効果)があることが示された.
臨床的観点からの成果
 片麻痺における屈筋共同運動が主因となる廃用上肢を,保持機能を持つ補助上肢へ転換させることの可能性,並びに,高齢者脊柱後弯の矯正・維持及び高齢者内反膝の矯正・維持による日常生活活動障害改善の可能性が示された.

ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
本研究で産学官民が連携し福祉機器の開発等に一致して取組む体制を構築できたことに大きな意義があった。なかでも、企業と福祉施設が連携し、利用者にとって真に必要で使い易い福祉機器の開発等を進めることは、高齢者や障害者の方が地域で自立した生活を営んでいくことを目指す福祉行政推進の一翼を担えるものになると思われる。また、本県が誇る製造業・医薬関連業の地場産業振興という面でも今後の可能性のあるものとなった。
その他のインパクト
富山県福祉機器研究委員会設立(平成17年10月)及び富山県福祉機器開発推進会議設立(平成19年2月)が富山県福祉機器産業振興政策として新聞,テレビで報道された.

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第24回埼玉膝・スポーツ医学研究会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
平成18年9月29日,本装具の原理機構を「身体補装具」として出願した(特願2006-266802).
その他成果(施策への反映)
2件
富山県福祉機器研究委員会及び富山県福祉機器開発推進会議の設立
その他成果(普及・啓発活動)
8件
幸せ・ものづくりセミナー7回,アイデアコンクール1回

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-