文献情報
文献番号
200619039A
報告書区分
総括
研究課題名
ソマトポーズに対するグレリンの臨床応用と基盤的研究
課題番号
H17-長寿-一般-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 中尾 一和(京都大学大学院医学研究科)
- 千原 和夫(神戸大学大学院医学研究科)
- 芝崎 保(日本医科大学大学院医学研究科)
- 村上 昇(宮崎大学農学部)
- 中里 雅光(宮崎大学医学部)
- 赤水 尚史(京都大学医学部付属病院)
- 児島 将康(久留米大学分子生命科学研究所)
- 大津留 晶(長崎大学医学部歯学部付属病院)
- 永谷 憲歳(国立循環器病センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
成長ホルモン(GH)の分泌低下は、ソマトポーズとよばれ、老化現象として知られる筋肉と骨量の低下および内臓脂肪蓄積型肥満などをもたらす。主任研究者らが発見したグレリンは、GH分泌促進作用に加え、摂食亢進、エネルギー代謝調節ならびに循環器系の調節にも作用する。本年度は、これまでの基礎研究を基盤にして、グレリンの新たな生理機能の解明と実質的な臨床応用を目指した以下のような広範な検討を行った。
研究方法
1)グレリンの慢性投与による糖・脂質代謝に対する影響
2)褐色脂肪細胞内のノルアドレナリン分泌に対するグレリンの作用
3)グレリンの生理作用発現における脂肪酸修飾
4)膵β細胞および糖尿病に対するグレリンの病態生理学的意義
5)迷走神経節のグレリン受容体GHS-Rの合成調節機構
6)遺伝子改変動物を用いたグレリンの生理学的意義の解析
7)変形性股関節症の人工股関節置換術の周術期回復におけるグレリンの有効性評価
8)胃切除後患者におけるグレリン補充療法
9)慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動耐容能改善に対するグレリンの臨床効果
2)褐色脂肪細胞内のノルアドレナリン分泌に対するグレリンの作用
3)グレリンの生理作用発現における脂肪酸修飾
4)膵β細胞および糖尿病に対するグレリンの病態生理学的意義
5)迷走神経節のグレリン受容体GHS-Rの合成調節機構
6)遺伝子改変動物を用いたグレリンの生理学的意義の解析
7)変形性股関節症の人工股関節置換術の周術期回復におけるグレリンの有効性評価
8)胃切除後患者におけるグレリン補充療法
9)慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動耐容能改善に対するグレリンの臨床効果
結果と考察
ラットへのグレリン長期投与での糖・脂質代謝への影響を明らかにし、慢性投与では至適投与量や投与期間の設定が重要であることを示した。褐色脂肪細胞のノルアドレナリン分泌測定の結果、迷走神経-視床下部を介したグレリンによる機能調節経路の存在が明らかになった。新生児糖尿病ラットにおいて、グレリン投与により、膵β細胞のインスリン産生の亢進とβ細胞数の増加が認められ、糖尿病治療に対する有用性が示唆された。グレリン受容体の迷走神経節における生合成は中枢性あるいは末梢性に制御され、この合成調節もグレリンの摂食降雪に関与していると考えられた。遺伝子改変マウスの作製・解析から、グレリン欠損マウスは致死性でなく、摂食や形態的な異常はないことが示された。体重減少を伴うCOPD患者を対象として、グレリンの運動耐容能改善効果を評価するための多施設二重盲検無作為化比較試験を開始した。高齢者の人工股関節置換術の周術期回復に対するグレリンの効果を評価する臨床試験は症例を集積中である。胃切除後患者へのグレリン補充療法を開始して、今後の臨床応用へ向けた検討を行った。
結論
グレリンの新たな生理作用やソマトポーズ治療に対する有効性などの基礎的な研究成果に加えて、臨床分野においてもグレリン治療の適応疾患の拡大に向けた重要な成果を得ることができた。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
-