MCIを対象とするアルツハイマー病の早期診断に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
200619034A
報告書区分
総括
研究課題名
MCIを対象とするアルツハイマー病の早期診断に関する多施設共同研究
課題番号
H17-長寿-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 健吾(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福山秀直(国立大学独立行政法人京都大学医学研究科高次脳機能総合研究センター)
  • 千田道雄(財団法人先端医療振興財団・先端医療センター映像医療研究部)
  • 尾内康臣(県西部浜松医療センター・先端医療技術センター)
  • 鷲見幸彦(国立長寿医療センター・病院外来診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
17,625,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
軽度認知障害(MCI)を対象とした前向きの多施設共同試験により、ADの早期診断に関するFDG-PETの有用性を中心に日本発の高いレベルの科学的根拠を確立する。
研究方法
・全体研究
1)神経心理検査等臨床データの解析(鷲見)
2)PET画像の中央読影(千田)
3)MRI画像の画像解析(福山および伊藤)
・個別研究
1)脳FDG-PET画像解析における3D-SSP正常データベースに関する研究(千田)
2)PETによる脳ブドウ糖代謝画像とセロトニン神経画像の比較(尾内)
結果と考察
平成17年12月から開始した症例登録は、平成19年3月20日までに108例の症例を登録することが出来た。
・全体研究
1)神経心理検査等臨床データの解析では、登録症例においてWMS-Rの遅延再生での障害が目立った(鷲見)。
2)PET画像の中央読影では、ADの画像所見とする判定が70%を越えていた。また,読影者間の判定の一致率は満足すべき値であり、今回の読影基準の妥当性が示された(千田)。
3)MRI画像の画像解析のうち、voxel-based morphometry (VBM)による解析では症例の50%以上に海馬傍回の萎縮が認められ、これは脳全体の萎縮傾向とは独立した挙動を示した(伊藤)。3T装置による正常群と1.5T装置によるMCI群のstatistical parametric mapping (SPM)による群間比較では装置の差が結果に大きく影響する事がわかった(福山)。
・個別研究
1)FDG-PET画像の3D-SSPによる画像統計解析では、他施設のデータベースや複数施設の正常データを混合したデータベースを使用しても、定性的にはあまり影響しないことが予想された(千田)。
2)正常被験者でセロトニン・トランスポーター密度の加齢変化と糖代謝定量画像の加齢変化を比較した。その結果、加齢と共にセロトニン神経の皮質投射系の機能低下が生じやすくなっていることが示唆された(尾内)。
結論
前向きの多施設共同研究の2年目として年度末までに必要最低限の症例登録を達成できた。また、登録症例のデータ解析が開始され、画像を含めた臨床的特性の一部が明らかにされた。

公開日・更新日

公開日
2007-03-29
更新日
-