医療機関外来部門における認知症看護相談・教育統合プログラムの開発

文献情報

文献番号
200619023A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関外来部門における認知症看護相談・教育統合プログラムの開発
課題番号
H17-長寿-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
水谷 信子(兵庫県立大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,288,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、認知症の早期段階と診断された高齢者を介護している家族に対し、「認知症看護相談機能」と「認知症看護教育機能」を一本化し、老人看護の専門性を反映させた『認知症看護相談・教育統合プログラム』を開発することである。
研究方法
本研究の方法は、研究1で『認知症看護相談・教育統合プログラム』の試案作成と実施、及びその評価・修正を行い、研究2でそれらに基づいた『認知症看護相談・教育統合プログラム』の改訂版作成と実施、及びその評価・修正を行うという、2段階に分けた実践介入研究である。
結果と考察
『認知症看護相談・教育統合プログラム』の実施環境としては、医療機関への公共交通機関の時間帯に合わせた時間設定や、プログラム中の被介護者の一時的ケアなど、介護家族が参加しやすい環境提供を行うことで、介護に対して鬱積した思いを出し、運営者や他の介護家族と対話しながら、介護の問題と対処、必要な知識を獲得していくことができた。
 また、このような介護家族に対し、被介護者の状態を考えながら、タイムリーにより良い介護を構築することを導くためには、老人看護や認知症看護の専門家が効果的にこのプログラムを使うことが必要であることが明らかとなった。
結論
介護家族をグループ形成した上で、対話を基調として『認知症看護相談・教育統合プログラム』を実施することは、介護知識の向上だけでなく介護家族の交流を生むことから、プログラム運営に介護家族のSelf-help-groupの効用を反映することができ、精神的安寧や介護家族自身が自分たちのライフスタイルに見合った介護方法を見つけることを可能にした。また、『認知症看護相談・教育統合プログラム』は医療機関外来で実施することで、認知症早期診断・早期治療に貢献することができるが、そのためには、生活者の視点から高齢者の健康問題を捉えることができる老人看護や認知症看護の専門家が中心となってこのプログラムを運営していくことが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200619023B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関外来部門における認知症看護相談・教育統合プログラムの開発
課題番号
H17-長寿-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
水谷 信子(兵庫県立大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平林美保(兵庫県立大学 看護学部)
  • 得居みのり(兵庫県立姫路循環器病センター)
  • 西山みどり(神戸海星病院)
  • 森山祐美(新日鐵広畑病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、認知症早期段階と診断された高齢者を介護している家族に対する、「認知症看護相談機能」と「認知症看護教育機能」を一本化し、老人看護の専門性を反映させた系統的プログラム『認知症看護相談・教育統合プログラム』を開発することであった。
研究方法
 本研究は、平成17年度に実施した『認知症看護相談・教育統合プログラム』試案の作成と実施、及びその評価・修正を経て、改訂版を作成し、その内容を2つの医療機関外来において実施した。  そして、その『認知症看護相談・教育統合プログラム』改訂版の評価・修正を行った、実践介入研究の手法を取った。
結果と考察
 医療機関外来患者における『認知症看護相談・教育統合プログラム』への期待やニーズは低くなかったが、在宅介護を担っている家族が定期的に参加することには、予想以上の困難があった。そこで、プログラム開催日程を調整したり、被介護者への一時的ケアの導入を組み入れるなど、介護家族が落ち着いて参加できる環境作りに努めた。その結果、介護家族は日ごろの介護に対する思いや考えをプログラム運営者や介護家族との対話で深め、精神的な安寧と自分に見合った介護を考えることができ、本プログラムとその運営方法が、介護家族のSelf-help-groupの効用を引き出すことに貢献できることが明らかとなった。また、認知症の診断や継続的治療への連動については、医療機関外来において、生活者の視点で高齢者の健康問題を把握できる老人看護、認知症看護の専門家が中心となって『認知症看護相談・教育統合プログラム』を運営することで、早期診断やタイムリーな看護援助が可能となることが分かった。
結論
 認知症高齢者の介護家族をグループ形成し、対話を基調として考案した『認知症看護相談・教育統合プログラム』は、介護知識の向上だけではなく、介護家族のSelf-help-groupの効用や自分の生活に合った介護方法を獲得できる点で有効性が見出された。
 また、医療機関外来部門で、老人看護や認知症看護の専門家が中心となって本プログラムを運営することは、認知症早期診断、早期治療、タイムリーな看護援助を可能とし、認知症悪化予防にも貢献できることが分かった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 認知症における、介護者教育・指導と介護に関する相談活動を、対話を基調とした一つの系統的プログラムとして開発できたことは、介護家族の心情に寄り添いながらも、認知症という疾患の特性、基本的な介護を専門的見地から一環して提供することを可能にした、という点で重要な成果を見出せた。
臨床的観点からの成果
 本プログラムは、老人看護や認知症看護の専門家が医療機関外来部門で運営することで、認知症早期診断、早期治療及び継続的治療に貢献することができる。また、直接的な看護介入を実施する時期や機会を把握することも可能であり、認知症悪化予防にもできることから、臨床的観点からも成果を見出している。
ガイドライン等の開発
 本プログラムは、1回1時間で、1週間に1度の頻度で計4回行うものであり、「フリートーク」、「認知症疾患理解、高齢者の健康管理」、「認知症介護の考え方、サービス利用について」、「まとめ会」の4種目で構成されている。繰り返し受講できるよう、「介護家族基礎情報シート」の運用も行っていく予定である。
その他行政的観点からの成果
 認知症高齢者を地域で支援するにあたり、地域包括支援センター等と協同して本プログラムを実施することで、地域レベルで認知症予防、認知症悪化予防につなげていくことも可能となる。
その他のインパクト
 『認知症看護相談・教育統合プログラム』を認知症高齢者へのアクティビティケアと連動させた取り組みとして、ある地域の「介護予防事業」で実施した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-