新しい日米科学技術協力に関する研究(循環器疾患に関する研究)

文献情報

文献番号
199700184A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい日米科学技術協力に関する研究(循環器疾患に関する研究)
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
菊池 晴彦(国立循環器病センター総長)
研究分担者(所属機関)
  • 藤島正敏(九州大学医学部)
  • 馬場俊六(国立循環器病センター)
  • 松澤佑次(大阪大学医学部)
  • 錦見俊雄(国立循環器病センター)
  • 並河徹(島根医科大学)
  • 門脇孝(東京大学医学部)
  • 浜口秀夫(筑波大学医学)
  • 長谷川敏彦(国立医療・病院管理研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国のライフスタイルの変化や急速な高齢化により、循環器疾患に対する危険因子の変化や発症率・病態の変化が起こっている。実態を明らかにし対策を見直すとともに、高齢者の循環器疾患治療の改善策を打ち出す必要がある。また、近年進歩が著しい分子生物学的手法による循環器疾患の成因および病態の解明が行われている。従来の疫学研究のみならず、これらも含めて循環器疾患における日米の技術協力を行うことを目的として、日米合同会議を開催して協議する。
研究方法
日米合同会議での討論課題の設定と各研究者に課題に対する研究の推進と総括を依頼した。PDAY研究のDr. Jack Strongを我が国に迎え、動脈硬化の研究成果の交換を行う予定である。
結果と考察
日米合同会議において予定されている日本側の発表要旨は次の通りである。藤島は久山町研究における37年にわたる循環器疾患の発症・死亡・危険因子の推移を報告する予定である。馬場は吹田研究における循環器疾患の危険因子・発症を報告し、脳卒中に比べて心筋梗塞が必ずしも少なくないという日本都市部の現状について考察する予定である。松澤は循環器疾患の多重性危険因子がもたらす病態と分子生物学的分析の成果を報告する予定である。錦見は健常時および循環器疾患におけるアドレノメジュリンの役割およびその合成、分解に関わる全般的な研究を発表する予定である。並河は高血圧の責任遺伝子について、動物モデルからヒトにいたるまで広範に分析した成果を報告する予定である。門脇は循環器疾患の多重性危険因子がもたらす病態のうち、特に肥満とインシュリン感受性低下についての遺伝子分析の成果を報告する予定である。浜口は血清コレステロール値に影響をもたらす遺伝子について、たくさんの家系を用いた研究成果を報告する予定である。長谷川は医療の経済的インパクトの内容と定義を明らかにしながら、厚生省、労働省の調査資料をもとに分析方法を開発し、循環器疾患の治療に要した費用が悪性疾患の場合とどのように異なるか、また65歳以上の高齢者における経済的インパクトについて報告する予定である。米国側も同様な課題について米国の現状を報告し、相互討議により理解を深めると同時に共同研究へ向けて協議を進める予定である。
2. PDAY研究では、日米の動脈硬化の病理および生化学的比較を行っており、日米の各々のデーターの比較作業を行う予定である。
結論
我が国のライフスタイルの変化は動脈硬化性疾患の危険因子を増している。同時に高血圧の関与も依然として大きいことが判明した。これらの危険因子に対する対策、特に地域医療での実践は極めて重要である。高齢者における心血管系合併症の発症には従来からいわれてきたもの以外の危険因子の関与の可能性も考えられ、解明が必要となっている。日米合同会議では分子生物学、遺伝疫学など新しい手法による病因、病態の解明のほか、これらを循環器疾患の予知および対策に積極的に応用する必要があることも確認されると予測される。
1. 二年に一度ずつ日米で交互に開催する日米合同会議を1998年4月奈良で開催し、下記の討議を行う準備を行った。(1)循環器疾患の疫学(九大藤島、国循馬場、米国側)、(2)循環器疾患の遺伝子疫学(米国側)、(3)循環器疾患における多重性危険因子がもたらす病態の、分子生物学的研究および遺伝子分析(阪大松澤、東大門脇)、(4)高血圧動物モデルおよび患者の遺伝子分析(島根大並河、米国側)、(5)高コレステロール血症患者の遺伝子分析(筑波大浜口、米国側)、(6)アドレノメジュリンの病態生理(国循錦見)、(7)循環器疾患の医療経済的インパクト(国立医療・病院管理研究所長谷川、米国側)。今回は疫学的分析の他に、遺伝疫学、高血圧動物の遺伝子分析、血圧調節に関連する遺伝子の分析などの新しいアプローチや医療経済に占める循環器疾患の重要性が明らかになると期待される。
2. PDAY研究の推進者であるアラバマ大学Strong名誉教授を我が国に迎え、動脈硬化の日米比較研究を推進する準備を行った。
我が国に急速なライフスタイルの変化と高齢化により、循環器疾患に対する危険因子の変化や発症率・病態の変化が予測される。実態を明らかにし対策を見直すとともに、高齢者の循環器疾患治療の解明も含めて、改善策を検討する。また、従来の疫学研究のみならず近年進歩が著しい分子生物学的手法による循環器疾患のあらゆる面についての日米の技術協力を行う。
1. 日米合同会議発表者の研究について
藤島は久山町研究における37年にわたる循環器疾患の発症・死亡・危険因子の推移を分析しつつある。馬場は吹田研究における循環器疾患の危険因子・発症を報告する予定である。日本都市部と米国での現状の比較が出来るよう準備中である。松澤は循環器疾患の多重性危険因子がもたらす病態の分子生物学的分析を行っている。錦見は健常時および循環器疾患におけるアドレノメジュリンの役割およびその合成、分解に関わる全般的な分析を行っている。並河は高血圧の責任遺伝子について、動物モデルからヒトにいたるまでの分析を行っている。門脇は循環器疾患の多重性危険因子がもたらす病態のうち、特に肥満とインシュリン低抗性についての遺伝子分析を行っている。浜口は血清コレステロールの高値をもたらす遺伝子の分析を行っている。長谷川は経済的インパクトの内容と定義を明らかにしながら、厚生省、労働省の調査資料をもとに分析方法を開発し、循環器疾患の治療に要した費用を他疾患と比較している。
2. PDAY研究のDr. Jack Strongを我が国に迎え、動脈硬化の病理学的および生化学的分析の日米比較を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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